物価高を背景に消費者の生活防衛意識が高まる環境下、セブン&アイ・ホールディングスがグループ共通で展開するプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」シリーズが存在感を増している。2024年度の売上計画1.5兆円達成に向け、特に品数を拡充した食品カテゴリが販売好調で牽引する。
本紙の取材に北村成司グループ商品戦略本部副本部長は「『セブンプレミアム』シリーズの食品はすべて納得していただけるおいしさとお得感のある価格を大前提にしている。25年春は多くのNB製品が価格改定を予定しており、お客様に『セブンプレミアム』の価値を改めて感じていただけるチャンス」と意気込む。
「セブンプレミアム」シリーズは、日々の食卓に満足感を届ける「セブンプレミアム」、専門店などとのコラボレーションで上質を追求した「セブンプレミアム ゴールド」、品質と手頃な価格を両立した「セブン・ザ・プライス」の3ブランドを中心に約3500アイテムを展開。
前期比で総アイテム数は微増だが、食品カテゴリは300アイテム増と品ぞろえを大幅に拡充している。
なかでも「セブン・ザ・プライス」の上期売上が約200%と急成長。23年度から本格稼働し、前期は120~130品だったが、今期は211品(24年11月末時点)まで増やした。
北村副本部長は「お客様の価格感度はかつてないほど高まっている。価格が安いだけでは不十分で、すべての商品においてこれまで以上に価格と価値のバランスが非常に重要」であることを強調。
その上で「昨今の消費環境は厳しいと言われるが、確かな品質を伴ったお買い得感ある商品であれば、お客様には積極的に買っていただける」とも付け加える。
「セブン・ザ・プライス」については「今期は品揃えの幅と値ごろ感を重視した大容量化を進めた。まずは冷凍食品の唐揚げや野菜などで好評を得た後、缶詰や乾物など対象カテゴリの幅を広げたことが奏功した。価格感度の高い子育て世帯をはじめ、幅広い層に支持されている」と説明する。
またグループのスーパー等で「セブン・ザ・プライス」の購入者は、未購入者に比べて買上点数が約2割も多いという。
「(この結果から)ワンストップショッピングを求めるお客様のニーズにも貢献できていることが分かった。引き続き品質を大切にしながらラインアップを増やしていきたい」と述べる。
25年春「クッククイック」、新商品 パンなど
25年春に向け、北村副本部長は「多くのNB製品が再値上げを予定しており、『セブンプレミアム』にとって存在感を高められるチャンス」とし、「節約志向や簡便志向など生活者のニーズを見極めつつ、新しい価値を提供していくことが必要。まずは足元で好調な商品をさらに拡販していきたい」との方針。
その筆頭格が、新コンセプトの冷凍食品「クックイック」だ。24年11月に発売した〈煮込んで美味しいシリーズ〉の「セブンプレミアム 旨辛チゲ」「同 火鍋」がヒットの兆しを見せている。
「ひと手間の調理で食卓を豊かに彩るおいしい食事を用意できる。今後、パンや炒め物の新シリーズも発売予定」と語る。