2.1 C
Tokyo
0 C
Osaka
2026 / 02 / 04 水曜日
ログイン
English
トップニュース気候変動とワイン 伝統産地に消滅危機 新産地出現も 塗り替わる地図 環境激変に適応急ぐ

気候変動とワイン 伝統産地に消滅危機 新産地出現も 塗り替わる地図 環境激変に適応急ぐ

近年の世界的な気候変動は、多くの農作物生産に影響を及ぼしている。テロワール(自然環境要因)に品質が左右されるワイン用ブドウも例外ではない。日本のワインメーカーも対策に本腰を入れ始めている。

気候変動による過度の干ばつと熱波の頻発で、伝統的なワイン産地の約90%が今世紀末までに消滅するおそれがある――。そんな予測を示す研究結果が今年3月、フランスの農学研究所ボルドー・サイエンス・アグロなどによって発表された。

影響は日本ワインにも表れつつある。年々強まる夏場の猛暑から、より冷涼な産地での生産に注目が集まるようになってきた。

欧州系のブドウ品種を中心とした日本ワインに取り組んできたサントリーでは、近年の気候変動も背景に、日本固有品種「甲州」に改めて力を入れる。

同社がワイナリーを構える「登美の丘」を中心に山梨県での生産に取り組んできた「甲州」で、新たな試みに挑戦。より冷涼な長野県・立科町産ブドウを100%使用した「立科町 甲州 冷涼地育ち2023」を9月に発売した。

「産地の積算温度は直近3年間で毎年100℃くらいずつ上がっていて、急激に温暖化が進んでいる。山梨と長野では、できるワインがだいぶ変わってきている」と話すのは、同社ワイン本部シニアスペシャリストの柳原亮氏。「山梨以外で『甲州』を作るとどうなるのか知りたかった」と狙いを語る。

山梨では糖度が上がるにつれて酸度が落ちる一方、長野では酸度を保ったまま熟す傾向が強いといい、冷涼なテロワールを生かすことで山梨とは異なる「甲州」の魅力を追求する。

日本ワインブランド「シャトー・メルシャン」を展開するメルシャンでは、温暖化への対策の一つとして標高の高いエリアに圃場を新規開拓している。

気候変動対策へ農研機構との研究にも取り組む「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」
気候変動対策へ農研機構との研究にも取り組む「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」

椀子ヴィンヤード(長野県上田市)は標高650m。現在8品種を栽培する。さらに標高800mの同県・片丘ヴィンヤードなどで新規開拓した圃場でも、高品質なワイン造りで成果を得ている。

他方で標高が低い鴨居寺ヴィンヤード(山梨市)では、20年から品種をシラーに一本化。適地・適品種を見極め実行できたことで、高品質なワインの生産本数拡大につながった。

「ワイン造りは農業なので、気候変動は重要な課題。当社のパートナーワイナリーであるコンチャ・イ・トロ社(チリ)は、温室効果ガス排出を40年までにゼロにすることを目指し、自然林による炭素回収などの取り組みを行うなど、持続可能なワイン造りに取り組んでいる」(同社)。

さらに、冷涼な北海道の産地にも熱視線が注がれる。日本ワイン「グランポレール」を展開するサッポロビールは、余市町と北斗市の道内2拠点でブドウ生産を行う。

温暖化の影響から、北海道でも良質なワイン用ブドウが採れるようになってきたという。昨年に初ヴィンテージをリリースした北斗ヴィンヤード(北海道)からは、「日本ワインコンクール2024」で金賞を受賞したセカンドヴィンテージ「北斗シャルドネ2023」を9月に発売。産地としてのアドバンテージが強まると期待される北海道産ワインを強みに、日本ワインを盛り上げる。

冒頭の研究では、既存産地が消滅の危機を迎える予測の一方で、以前はブドウ栽培に適さなかった地域に新しいワイン産地が出現する可能性も指摘されている。ワインの未来地図が大きく塗り替わろうとしている。

(11月8日付本紙に「ワイン特集」)

関連記事

インタビュー特集

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。

繋げる、繋げる、繋げる たこ焼きコミュニケーション足掛かりに TKO・木本武宏さんが次のフェーズへ

STUDIO TAMUROはお笑いコンビ「TKO」木本武宏さんの活動拠点。木下さんの実妹・大岡真裕美さんが代表を務める「オフィスTAMURO」が運営し、トークライブや、YouTube番組作成スタジオとして利用してきた。昨年5月からは新たな活動として、毎月3日だけ営業する「たこ焼き店」がスタートした。

SST=“サミットの仕事が楽しい”へ 新たな競争軸を作る 服部哲也社長

――中期経営計画の進捗はいかがですか。― 服部 「良い×強い=最強」という言葉を掲げた中期経営計画「頂(イタダキ)2025」は、最終年度を1年延長して26年度までとした。

食品産業センター 荒川隆理事長に聞く 「食サス」設立でサステナ課題深掘り フードサプライチェーン全体の連携で

日本の食品産業は、国内外から調達された農畜水産物を原料として、健康で豊かな生活を送るために必要な加工食品を安定的に製造・供給する産業として発展してきた。

小川珈琲、バリスタ育成とコーヒー産地での活動に先駆的に取り組みブランド力向上 基盤強固に新事業を展開 宇田吉範社長CEOが意欲

9月1日から現職の宇田吉範代表取締役社長/CEOは、バリスタとコーヒー産地での活動に先駆的に取り組み、小川珈琲のブランド力を引き上げた立役者。