キリン「ファイア」から新シリーズ「アロマブリュー」 高付加価値帯に挑戦 新技術で香り立たせる

キリンビバレッジは「ファイア」ブランドの新シリーズ「ファイア アロマブリュー」を立ち上げ、ペットボトル(PET)コーヒーで高付加価値帯の提案に挑む。3月12日、「ファイア アロマブリュー」から「ブラック」と「ラテ」の2品を新発売する。

1月25日、取材に応じた成清敬之マーケティング部長は「『ワンデイ』シリーズの継続的な強化に加え、『アロマブリュー』という高付加価値商品を新発売して、PETコーヒー市場をさらに魅力的な市場にしていきたい」と意欲をのぞかせる。

「アロマブリュー」の特徴は、商品名の通り香りにある。「熱を加えるとコーヒーの淹れたてのような香りが生成される新技術を用いて、今までつくりきれなかった、淹れたてのような香り高さを実現した。ぜひ香りに注目していただきたい」と胸を張る。

同商品で、「ファイア ワンデイ」などでは取り切れなかったカフェチェーンなどの外食で本格コーヒーを嗜む層の獲得も視野に入れる。「PETコーヒー以外のところでコーヒーを飲まれている方にも手に取っていただけるように仕立てた」という。

「アロマブリュー」立ち上げの背景には、ご褒美感・報酬感のニーズの高まりがある。

諸橋桜子マーケティング部ブランド担当主任は「コロナ禍や物価高の影響で、日常に「ちょっとご褒美が欲しい」「報酬感が得られる機会が欲しい」といったニーズが増えている。このニーズに飲料メーカーとしてぜひ応えていきたいと考え、高付加価値商品を考案するに至った」と振り返る。

コンビニのカウンターコーヒーが市民権を得ていることにも着目した。「カウンターコーヒーと同じ値段であるなら、カウンターコーヒーくらいおいしくあってほしいとPETコーヒーへの期待は年々高まっているものの、現状、PETコーヒーに対する満足度は低い」という点に勝算を見込む。

パッケージは、人の手でていねいに作りこまれた紙のようなテクスチャーと、豆から立ち上る、淹れたてのようなコーヒーの香り高さが楽しめそうな上質感が特徴となっている。

「エンボス加工で立ち上るコーヒーの香りを表現して、香りの高さを感じていただけるようにした」という。

コミュニケーションも「香り高さをイメージできるようなシナリオ」で「アロマブリュー」専用CMを今春に出稿予定。

販売チャネルはスーパー・量販店をメーンに、コンビニにも導入予定。自販機にも装填される。

昨年二ケタ増の販売数量を記録した「ワンデイ」シリーズも引き続き強化。

「『ワンデイ』と『アロマブリュー』は顧客基盤も違うためカニバリもあまり起きないとみている。『ワンデイ』も伸ばしながら、『アロマブリュー』ではお客様の高まる報酬ニーズに応えていく」。