アサヒ飲料 将来世代がワクワクする社会づくりチャレンジ 無糖茶・乳性・炭酸に軸足

アサヒ飲料は2024年、無糖茶・乳性・ヘルスケア・炭酸のカテゴリーに軸足を置き成長を目指していく。2024年販売数量は前年比0.2%増の2億6千430万ケースを計画。大型ペットボトル(PET)などの収益性の低い容器から収益性が比較的高い小型PETにシフトするなどして金額成長を意識した販売数量計画となる。中期の成長を視野に、高付加価値商品の強化やCSV起点の商品・サービスにも挑む。

事業方針説明会に臨んだ米女太一社長は「事業を通じて将来世代がワクワクするような社会を作っていくことにチャレンジする。この実現に向けて、収益性と成長性という軸に、ワクワク度の要素を新たに掛け合わせて生み出す価値を一体的に捉えていく」と意欲をのぞかせる。

中期マーケティング戦略の軸足について、野村和彦取締役兼常務執行役員マーケティング本部長は、ブランドと生活者起点の2つを挙げ「お客様も気づいていないインサイトをしっかり探り、ブランドのパーパスや価値と連携していく。生活者起点の価値創造では世の中の潮流やトピックスにしっかり向き合っていく」と語る。

このような中期の考え方を踏まえ2024年事業方針を策定した。

無糖茶では「颯」「十六茶」「和紅茶」をリニューアル。「颯」で前年比ほぼ倍増の1千万ケースの大台突破を目指す。

乳性は「カルピス」のおいしさ・滋養・安心感・経済的の4つの基本価値を改めて訴求し、ヘルスケアではカルピス由来の「乳酸菌科学シリーズ」を「カルピス」ブランドのヘルスケア新シリーズ「PLUSカルピス」としてリニューアルする。

今年の最注力カテゴリーと目されるのは炭酸カテゴリー。「三ツ矢」140周年、「ウィルキンソン」120周年と二大炭酸ブランドが節目の年を迎えることを受け、野村本部長は「全社一丸となって炭酸に取り組み、市場を活性化していきたい」と意欲をのぞかせる。

CSV起点の商品展開としては、ラベルレス商品を強化し、新たに強炭酸サーバーのサービスに挑む。

ラベルレス商品は23年、前年比23%増の840万ケースの販売を記録。今年はラベルレス商品横断CMを放映するなどして「ラクにエコできる」という価値を訴求して1千万ケースの販売を計画する。

24年ブランド別販売計画は次の通り。▽「三ツ矢」4.9%減の3千880万ケース▽「カルピス」1.3%減の3千630万ケース▽「ワンダ」2.9%増の2千720万ケース▽「十六茶」7.6%減の1千740万ケース▽「ウィルキンソン」4%増の3千470万ケース▽「おいしい水」7%増の2千50万ケース。

このうち「三ツ矢」の計画について米女社長は「割と大きな比重を占めるのが大型容器と250㎖の缶で、これらの容器からより利益を生むような容器に少しずつ寄せていく。物量的には少し減るが、経営的には安定に向かう」と説明する。

一方、野村本部長は「おいしい水」の計画について「水市場がものすごく伸びており、このことが『おいしい水』の計画に反映されている」と述べる。

「ワンダ」については「『ワンダ』の価値観は何なのかという原点に立ち返り、お客様のお声に耳を傾け、コミュニケーションの仕方や商品そのものを少し変えていくことも検討していきたい」との考えを明らかにする。