限りなくリアルな肉の食感を再現した植物性ミートが、台湾から上陸する。
1967年に日本政府の支援を受け台湾企業と高崎ハムの合弁で設立された台湾ハムが、長年培った食品加工技術で開発した「NO MEATING(ノーミーティング)」。パソコンなどIT関連機器を展開する日本エイサーが総代理店として国内販売を担い、日本のプラントベースフード市場に参入する。
「私たちは品質にこだわり、食文化の模索をたえず続けてきた。しかし伝統的な生産方法が環境に与える影響も理解しており、持続可能な食生活へいまこそ変化が求められている」。製造を手掛ける台湾ハム子会社の緒裕バイオテック・張嵐欣会長が、9日の発表会で説明した。
ノーミーティングの最大の特徴は、従来の植物ミートにはない肉の自然な食感だ。大豆、小麦、エンドウ豆たんぱくなどの素材を組み合わせ、特許製法で肉の筋繊維を再現。手で引き裂いてみても、本物の肉のような組織を確認することができる。これをハンバーグやチキン、魚肉などさまざまな肉の構造を模して成形することで、かみつぶしたときの繊維の崩れ方まで表現。多彩な製品に応用することが可能だ。
肉の風味を出すために油脂を加えると成形が難しくなる課題があったが、技術革新によりこれをクリア。味も食感も「肉そのもの」の製品開発に成功した。
日本エイサーの詹國良(ボブ・セン)社長によれば「事業多角化を検討してきたが、正直いって食品ビジネスは考えていなかった。だが昨年に台湾ハムの張華欣会長と出会い、深いゆかりがある日本においしいものを届けたいという強い思いを知った。ESDやSDGs尊重の姿勢に感銘を受け、ぜひ協力したいと考えた」という。
ヴィーガンやベジタリアン向けではなく、「おいしいから選ぶ」食材として日常の食卓に定着を図る考えだ。
「言われなければ絶対わからない」
この日の発表会には、ゲストとしてプロゴルファーの古閑美保さんが登場。イチ押しとして薦められたフィッシュ風フライを試食した古閑さんは「おいしい!味も食感も本物の魚。言われなければ絶対わからない」と驚きの表情。これまで植物ミートをおいしいと感じたことはなかったというが「イメージが変わってしまった」と衝撃を語っていた。
記者もフィッシュ風フライやトンカツ、餃子などを試したところ、これには同感。何かの間違いで本物の肉が提供されたのでは?と疑ったほどだ。スーパーの生鮮コーナーでも、食肉の代替ではなく対等に勝負できそうなおいしさだと感じた。
「ノーミーティング」は来春発売。オープン価格だが、一般的な植物ミートよりも1割程度高い店頭価格を想定する。ヴィーガン商品専門の通販サイト「ブイクックスーパー」で1月から先行発売するほか、外食などの業務用にもニーズに応じて対応する。