マクアケ社の応援購入サービス「Makuake」の中でフードプロジェクトが脚光を浴びている。フードプロジェクトの購入金額は現在、2019年比の4倍に拡大。生活者からの引き合いが見込めることからMakuakeを利用するメーカーは多くMakuake発の食は拡大傾向にある。
新ブランド「AWESOMEET(オーサミート)」を立ち上げたエバラ食品工業は「和牛専用調味料 焼肉」3品を発売している。
3品は、和牛を取り寄せて自宅で楽しむニーズが高まっていることから「質のいいお肉と相性のいいタレでつくる最高の食体験を提供したい」(エバラ食品工業の三好雄大朗経営企画部EC事業課長)との思いで「和牛に合う」をコンセプトに、肉の旨味や脂との相性を追求したもの。
セット料金は送料込みで4千円強。「50年以上焼肉のたれを作ってきて、まさにチャレンジ商品」(三好氏)と位置付け、足元はこだわり層を中心に好調な動きをみせているという。今後は和牛以外でも素材との相性を重視した商品を模索していく。
明治は、カマンベールとブルーチーズの贅沢な出会いを提案する。
「明治北海道十勝カマンブルー」は、21年に開設した「十勝チーズ研究センター」で開発した第1弾商品。
「ブルーチーズは日本国内でじわじわと伸びてきているが、デイリーに食べるには苦味や塩気といった癖が強すぎるといった声が多い」(十勝チーズセンターチーズ開発グループ高石真樹氏)ことから、青カビをまろやかな味わいの白カビカマンベールと組み合わせて、日本人の食卓に馴染むようにした。これを皮切りにブルーチーズ市場にも力を入れる。
品質を統一するため、カビの熟成条件を動かすなど一つ一つ手作業で行うが、店頭の価格勝負では商品の魅力を伝えきれないことから、「Makuake」での展開に期待する。
「消費者の感度が高い人が多く、価値を理解してもらったうえでインフルエンサーになってほしい」と高石氏は語る。
100㎖で税込6千980円の「ベルガモットシロップ」を開発したのはEGG’s。
同商品は、香水のような爽やかな香りが特長の広島産ベルガモットを使用したシロップ。
原材料は、ベルガモット、甜菜糖、天然水というシンプルな材料で、人工甘味料や添加物、着色料を使わず、天然素材にこだわった。EGG’sの深水稔大CDOは「あえて身近なアイスを活用例として訴求することで、消費者の間で汎用性が広がってほしい」と狙いを語る。
カネシメ水産は、盛岡市の浅沼醤油店と協力し、三陸の鮭からできた魚醤「鮭醤―KEISHO―」の「クリア」「濁り」の2品を税込5千円で発売。「三陸の食文化を支えてきた鮭を余すことなく生かしたい」との思いから、廃棄される部位や低価格で取引される部位を有効活用した。
水揚げしてすぐ処理・冷凍保存した鮭の、脂分が少ない頭・中骨・ヒレなど厳選し、約300通りの中から最適な発酵温度や麹の割合を選んだことで、臭みを抑え旨味を最大限生かした。
「濁り」はから揚げの下味や、オリーブオイルと混ぜて野菜をあえたり、「クリア」は汁物や素麺など汎用性が高い。寿司店やラーメン店からの引き合いも強いという。
カネシメ水産の金子太一社長は「地域の特産品になってくれたらいい」と力強く語る背景には、様々な思いがある。
同社は今年5月末に工場の火災が発生し、被害額は数千万円に上る見込みだ。「水揚げ量が減少し、漁師の方の収入も減っている。衰退していく水産業や魚食文化の存続への追い風にして、いい変化につなげたい」という当初からの願いに、火災からの復興もテーマにのせて、認知拡大を目指す。