松屋が冷食卸に参入 明治屋ストアーなどで独自商品販売へ

百貨店の松屋が冷凍食品の卸売事業に参入する。6月16日に開いた「GINZA FROZEN GOURMET(ギンザフローズングルメ)」の新商品発表会で明らかにした。7月中旬から明治屋広尾ストアーと同玉川ストアーでの販売を予定。地方百貨店などにも販路を拡大し、初年度4店舗、3年で10店舗の展開を目指す。

「ギンザフローズングルメ」は、昨年8月31日に松屋銀座の地下2階生鮮食品フロアにオープンした自社運営の冷食売場で、約10坪に銀座の名店の看板料理など高品質な冷凍商品を取り揃えている。

新商品発表会に臨んだ店舗代表者たち(GINZA FROZEN GOURMET(ギンザフローズングルメ)) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
新商品発表会に臨んだ店舗代表者たち(GINZA FROZEN GOURMET(ギンザフローズングルメ))

オープン以降の業績について、松屋銀座食品部の今井克俊営業一課長は「当初予算比150%を超えた」と発表会で明かした。半期(9~2月)の売上目標5千万円に対し、実績が7千500万円を超えたという。「店頭のみならず、“銀座の味”を求める地方からの電話注文や、松屋オンラインストアでの販売増が売上好調の要因」とし、3千円前後と価格帯が高いことが「おいしさを実感したお客様からのギフト需要につながった」と話す。

卸事業で販売するのはギンザフローズングルメで販売している「銀ぶらグルメシリーズ」など約20商品。「店頭と卸事業で今期(3~2月)1億円の売上を目指す」と今井氏は意気込みを見せた。

発表会には明治屋の磯野太市郎社長も出席しており、今回の取り組みについて「銀座ブランドを打ち出しながら継続的に販売していきたい」と述べた。

黒を基調に高級感を演出したギンザフローズングルメの売場(松屋銀座) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
黒を基調に高級感を演出したギンザフローズングルメの売場(松屋銀座)

ギンザフローズングルメでは、7月5日に「浅草グルメ」シリーズなど新商品20点が発売される。

松屋が90年以上にわたって店舗を構える“浅草の味”として、〈駒形前川〉の「うなぎ蒲焼」(1人前5千2百円)や〈桜なべ中江〉の「桜なべ」(1人前、4千320円)などをラインアップした。

京都を代表する老舗高級料亭「美濃吉本店 竹茂楼」から初の冷凍食品として「鱧鍋 すっぽん出汁仕立て」(2人前、税込1万800円)など4品が提供される。発表会に出席した佐竹洋吉・美濃吉社長は「テクニカン『凍眠』の急速冷凍技術により、品質の劣化を防ぐことが可能になったため、今回初めて冷凍食品に挑戦した」と話す。

〈あひ鴨一品鳥安〉の「あひ鴨葛餡がけ 七味仕立て」(1人前、2千916円)をはじめ都内名店の看板料理も複数追加。約55ブランド・350種類の取り扱いを継続する。