14.1 C
Tokyo
12.4 C
Osaka
2025 / 11 / 18 火曜日
English
日配大豆製品植物性チーズでおいしさと“とろっとのび~る”を追求 北米No.1シェア「デイヤ」が日本初上陸 料飲店の体験の場を通じてアピール
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

植物性チーズでおいしさと“とろっとのび~る”を追求 北米No.1シェア「デイヤ」が日本初上陸 料飲店の体験の場を通じてアピール

 北米の植物性チーズ市場でシェアNo.1の「デイヤ」ブランドが日本初上陸した。

 日本で「デイヤ」を手掛ける大塚製薬は、今年一年間をテスト展開の年と定め、植物性の業務用シュレッドチーズを料飲店に向けて提案。プロの手でメニュー化してもらい料飲店の体験の場を通じて製品価値を伝えていく。

 製品価値は、デイヤフーズ社(後述)の革新技術で乳製品のチーズと遜色ないおいしさと香りを追求している点。多くの植物性チーズでは難しいとされる加熱したときのとろける感じや伸びも実現している。

 初上陸第一弾メニューとなる「デイヤ×2foods 焼きチーズカレー」にスプーンを入れて持ち上げると、さながら乳製品のチーズのようにに“とろっとのび~る”のが実感できる。

 同メニューは、ヘルシージャンクフードを展開するプラントベースフード(PBF)ブランド「2foods」(トゥーフーズ)とのコラボメニューで、1月10日から3月9日まで「2foods 渋谷ロフト店」(東京都渋谷区)限定でイートイン販売している。価格は1210円。

大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部製品部ヘルスプロモートブランドチームグローバル導入製品担当の大本隆介氏
大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部製品部ヘルスプロモートブランドチームグローバル導入製品担当の大本隆介氏

 1月11日、取材に応じた大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部製品部ヘルスプロモートブランドチームグローバル導入製品担当の大本隆介氏は「1年間通じて市場性や受容性をみていく。まずは渋谷で展開し、今後については未定だが、2foodsさま以外の飲食店に広げていきたい。PBFの料飲店に加えて、一般的なカフェやレストランにも使っていただくことをイメージしている」と語る。

 大塚製薬の業務用の展開は、卸を通じて一部に「ポカリスエット」のパウダーを販売している程度で皆無に等しく、パートナーについては「これから随時決めていく」。
 渋谷ロフト店での展開は、一般消費者へのアピールに加えて、フードサービス事業者へのプレゼンの場としても活用していくとみられる。

 「デイヤ」は、カナダ・バンクーバーで2008年に設立し17年に大塚グループ入りしたデイヤフーズ社が開発から製造販売までを行っているPBFブランドで、売れ筋の植物性チーズ以外にピザ・ドレッシング・チーズケーキなどトータル約55品(SKU)のPBF製品を取り揃える。

左から「モッツァレラスタイルシュレッド」と「チェダースタイルシュレッド」
左から「モッツァレラスタイルシュレッド」と「チェダースタイルシュレッド」

 北米では業務用と一般用(家庭用)が同時に販売開始され、売上比率は現在、家庭用のほうが高いが、日本ではチーズやPBFへの捉え方が北米と異なると判断し業務用からのスタートを選択した。

 「家庭用ではトライアルされにくいのが理由の1つだが、市場はまだ小さく、『デイヤ』のおいしさをプロの手によってベストな状態でお客様にお届けしたい思いが強い」という。

 「デイヤ」約55品の中から今回、日本の業務用で販売されるのは「モッツァレラスタイルシュレッド」と「チェダースタイルシュレッド」の2品で、動物性原料不使用・乳原料不使用・アレルゲンフリーが共通の特徴となっている。

右からTWOの清信奏江Sales&Promotion&PR PRプランナーとTWOの齋田佳秀R&Dフードクリエイター
右からTWOの清信奏江Sales&Promotion&PR PRプランナーとTWOの齋田佳秀R&Dフードクリエイター

 コミュニケーション施策としては、ブランドサイトで正しい製品情報を伝達するとともに「チーズはビジュアルでアピールできる」との考えからインスタグラムで「デイヤ」製品を使ったメニューや店舗を紹介していく。

 その最初のメニューにヘルシージャンクフードを選び、大塚製薬は2foodsの発信力に期待を寄せる。

 おいしさを最優先して伝えていくのがヘルシージャンクフードの役割とみられる。

 「2foods」を展開するスタートアップ企業TWOの清信奏江Sales&Promotion&PR PRプランナーは、ヘルシージャンクフードについて「PBFの訴求にあたってヘルシーやエシカルといった要素だけではどうしても押し付けがましくなる。一方、ジャンクフードには胸が躍るようなビジュアルや食欲をそそる豊かな香りといった五感を刺激するやみつき感があり、それにヘルシーの要素を付加した」と説明する。

 コラボメニュー「デイヤ×2foods 焼きチーズカレー」では、「モッツァレラスタイルシュレッド」と「チェダースタイルシュレッド」の2品をミックスしてたっぷりと使用してジャンクさを追求。シュレッドをさらに細かく刻むなどしてチーズが一層伸びるように仕立てられている。

 メニュー開発したTWOの齋田佳秀R&Dフードクリエイターは「デイヤ」製品について「本物のチーズに近づいている印象がする。もちっとした伸びが特徴で、メニュー化するにあたって伸びを強く活かしたいと考えた。カロリーも一般的なチーズより抑えられている」と述べる。

「2foods 渋谷ロフト店」(東京都渋谷区)
「2foods 渋谷ロフト店」(東京都渋谷区)

 TWOは21年4月に「2foods」3店舗をオープンして、同年、5店舗に拡大。オープン時にはカゴメと業務提携してカゴメとの共同開発商品など小売商品も展開している。

 「デイヤ」とのコラボについては「有名ブランドとのコラボで新しいお客様が取り込めたらいいと考えている。ともにPBF市場を盛り上げていきたい」(清信氏)と語る。

 なお植物性チーズ市場は国内外で成長しており、日本は北米と比べて小規模で開拓余地が見込める。

 The Insight Partners Analysisによると2017年からの北米ヴィーガンチーズ市場は毎年10%以上成長し20年に前年比約15%増の3788億円(1米ドル132円換算)を見込む。
 一方、日本の植物性チーズ市場は、インテージSRI+からのJ-オイルミルズ推計で22年度に前年比1.8倍の3億5900万円の見込みとなっている。

関連記事

インタビュー特集

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

明星食品 新提案「麺の明星 主食麺宣言!」 4つの軸の袋麺アレンジで食事性アップ

明星食品は、こだわりの麺技術で開発した商品ラインアップを全面に押し出し、新たに「麺の明星 主食麺宣言!」と銘打ったプロモーションを大々的に展開している。

イチビキ 中村拓也社長 豆みそ・たまりNo.1の矜持を 人口減睨み業務用・海外強化

安永元年(1772年)創業の醸造・食品メーカー、イチビキ。今年6月20日付で同社社長に就いた中村拓也氏は、98年入社。

「大豆ミート」対談 マルコメ・日本製鋼所 次世代型食品へ課題と提言

健康志向が高まり、プラントベースフード(PBF)にも関心が集まる中、2023年9月に大豆ミートメーカー5社が発起人となり、「日本大豆ミート協会」が設立された。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点