11 C
Tokyo
8.9 C
Osaka
2026 / 01 / 16 金曜日
ログイン
English
流通・飲食國分勘兵衛 平成を語る〈7〉

國分勘兵衛 平成を語る〈7〉

問われる職業倫理 規制に頼らず信頼醸成を

雪印グループを解体に追い込んだ2度の雪印事件(平成12年〈2000〉雪印乳業集団食中毒事件、平成14年〈2002〉雪印食品牛肉偽装事件)を皮切りに、平成中期には食品事故、表示・品質偽装、食品テロが多発した。そこに業界の慢心があったのは確かだが、コストの正常な転嫁を阻む価格競争が事故や偽装の温床となっていたことも否定できない。

――平成10年代には食品関連の事件・事故が相次ぎ、消費者の食の安全・安心に対する関心が高まりました。

「偽装表示のような職業倫理に反する事件が起きてしまったのは残念なことです。平成期の反省点として記憶すべきでしょう。しばしばマスコミに取り上げられた異物混入なども、本来あってはならないことです。100%防ぐのは難しいという声もありますが…」

――事故や偽装が次々に発覚した平成19年〈2007〉前後は、いわゆる「川上インフレ・川下デフレ」の時期に当たります。コストの正常な転嫁を許さない競争環境にも問題があったのでは。

「その因果関係は分かりません。ただ、当時は穀物を中心に輸入原料が急激に上がっていましたから、サプライチェーンに歪みが生じないよう、安売り以外の販売促進のあり方などについてもう少し知恵を絞るべきだったんでしょうね」

――平成20年〈2008〉、日本向け冷凍食品の受託製造を専門に手がけていた中国天洋食品で殺虫剤混入事件が発生しました。後の捜査で待遇に不満を持つ工員による報復行為だったことが判明しました。

「日本も缶詰輸出で外貨を稼いでいた頃には、諸外国に買い叩かれた腹いせに、石などを詰めて送るケースがあったと聞いたことがあります。万全な品質保証体制を築き上げるには、取引先の労働環境にも配慮し、信頼関係を醸成していくより他にないということでしょう。根本的には職業倫理の問題です」

――安全・安心意識の高まりを背景に、メーカーは異物混入対策などに多額の設備投資を行い、卸も品質管理の強化やフードディフェンスへの投資に力を入れるようになりました。来年はHACCPの義務化も控えており、食品製配販の品質管理コストはますます高まる方向です。この問題をどうお考えですか。

「難題ですね。消費者の要求レベルが上がり、それに応える法律が整備されれば、業界はコストをかけて対応していかなければならない。平成期にも同様のケースが多数ありましたよね」

――ええ。平成19年〈2007〉のミートホープ牛ミンチ偽装事件の後には、業務用商品への原材料表示が義務づけられました。平成20年〈2008〉に発生した三笠フーズによる事故米不正転売事件の後には、米の取引管理記録を義務づける米トレーサビリティ法が施行されました。

「そうした政府の管理体制が強まるほど、製造・流通コストが上がり、最終的には価格への転嫁という話になってしまいます。そんな事態を回避するためにも、私たち食品事業者は職業倫理に徹していく必要があるし、消費者の方々にも要求と買いやすい価格のバランスというものに目を向けていただきたいと思うのです」

――制度に頼ることなく、自由で健全な事業環境と購買環境を維持できる国であり続けたいですね。

「ええ。法規制に頼りすぎるのは必ずしも良いこととは思えません」

(次号に続く)

関連記事

インタビュー特集

繋げる、繋げる、繋げる たこ焼きコミュニケーション足掛かりに TKO・木本武宏さんが次のフェーズへ

STUDIO TAMUROはお笑いコンビ「TKO」木本武宏さんの活動拠点。木下さんの実妹・大岡真裕美さんが代表を務める「オフィスTAMURO」が運営し、トークライブや、YouTube番組作成スタジオとして利用してきた。昨年5月からは新たな活動として、毎月3日だけ営業する「たこ焼き店」がスタートした。

SST=“サミットの仕事が楽しい”へ 新たな競争軸を作る 服部哲也社長

――中期経営計画の進捗はいかがですか。― 服部 「良い×強い=最強」という言葉を掲げた中期経営計画「頂(イタダキ)2025」は、最終年度を1年延長して26年度までとした。

食品産業センター 荒川隆理事長に聞く 「食サス」設立でサステナ課題深掘り フードサプライチェーン全体の連携で

日本の食品産業は、国内外から調達された農畜水産物を原料として、健康で豊かな生活を送るために必要な加工食品を安定的に製造・供給する産業として発展してきた。

小川珈琲、バリスタ育成とコーヒー産地での活動に先駆的に取り組みブランド力向上 基盤強固に新事業を展開 宇田吉範社長CEOが意欲

9月1日から現職の宇田吉範代表取締役社長/CEOは、バリスタとコーヒー産地での活動に先駆的に取り組み、小川珈琲のブランド力を引き上げた立役者。

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。