加工食品菓子カルビー成長戦略 天候に左右される北海道産じゃがいもに備え コーン原料強化 「フリスク」などスナック以外の領域にも挑戦
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カルビー成長戦略 天候に左右される北海道産じゃがいもに備え コーン原料強化 「フリスク」などスナック以外の領域にも挑戦

 カルビーは、成長戦略の一環として、天候に左右されやすい北海道産じゃがいも(馬鈴薯)に備え、コーン原料の強化やスナック以外の領域に挑む。

 前期(3月期)は、高温と干ばつの影響で北海道産馬鈴薯の収穫量が減少し品質も低下したことで、北海道産馬鈴薯を主原料とする「ポテトチップス」や「じゃがりこ」は、年末・需要期に販促活動の抑制を余儀なくされた。

 3月31日、取材会に臨んだ江原信社長兼CEOは「2023年と2024年と過去最高の売上と利益を更新したが、2025年に失速した。失速の最大の原因は北海道産馬鈴薯の不作と品質劣化にある。レジリエンス(回復力)をつけることが不可欠であり、スナックではコーン原料など、馬鈴薯に何かあったときに代替となる原料の種類を増やしていく」との考えを明らかにする。

 この考えのもと、広島はつかいち工場(広島県廿日市市)では、連結子会社のジャパンフリトレーの主力商品「マイクポップコーン」や「ドリトス」の製造を4月に開始する。
 これにより国内でのジャパンフリトレー商品の生産能力は従来と比べて約1.5倍の増加を見込む。

 ジャパンフリトレー商品の販路拡大に向けては、ジャパンフリトレーの営業・物流機能をカルビーに移管して今年10月に統合する。
 これについては「ジャパンフリトレーとの最終的な実験としては、カルビーが販売協力していた『元祖たこやき亭』をカルビーが販売してみたところ、売上が40%程度増え、配荷における力の差が分かった。他のジャパンフリトレー商品もカルビーが販売することで、配荷率が上がり結果的に売上が伸びると判断した」と説明する。

 レジリエンス向上へ、カルビーの営業力とマーケティング力を活用してスナック以外の領域にも挑む。

 昨年、ペルフェッティ・ヴァン・メレと日本国内における独占販売代理店契約を締結し、今年11月から「フリスク」「メントス」「チュッパチャプス」などペルフェッティ・ヴァン・メレ製品の販売と物流業務を引き継ぐ。

 ペルフェッティ・ヴァン・メレ製品について「我々の営業力とマーケティング力を活かして、お客様により届きやすく、カスタマイズできるような商品作りに取り組み、この分野(スナック以外)においても伸ばしていきたい」と意欲をのぞかせる。

 前期にブランド力による販売面で手応えを得た「堅あげポテト」「じゃがりこ」など馬鈴薯由来の主力ポテトチップスについては、国産馬鈴薯の調達力強化などに取り組み、さらなる伸長を目指す。

 前期は、新⼯場のせとうち広島⼯場で輸⼊馬鈴薯使⽤量を増やしポテトチップス定番品の安定供給に取り組んだものの、持続性には疑問符が付く。
 「国産馬鈴薯が不作の場合、機動的に輸入を拡大することは十分に考えられるし、それができるようにはなっている。だが、昨今の為替が続くと収益は厳しいのが実態。供給責任があるため最大限輸入してカバーするようにはするが、輸入を積極的に増やしていくことは考えにくい」と語る。

 国産馬鈴薯の調達力強化策としては、連結子会社のカルピーポテト社が、適正施肥や潅水(かんすい)の研究、品種改良の取り組みを進めていくとともに、調達先の多角化を進める。

 調達先については「北海道斜里郡斜里町では収量がすごく増えており、さらに拡大の可能性がある。北海道でもまだまだカバーしきれていないエリアへの展開を図っていく。加えて、東北エリアを強化することで万遍なく収穫してすぐに使えるようにしていく」と述べる。

 海外は北米を戦略重点地域として選択し、マーケティング・R&Dへの費用投資に加え、人財や日本の知見を重点的に投入し売上最大化を図る。
 今期からの5か年を成長投資期と位置付け、北米を中心とした成長領域へ投資する。
 国内での持続的成長や海外での成長加速を実現する手段としてM&Aも活用する。「M&A投資額としては5年間累計で1000億円以上を想定している」という。

 北米では、主力ブランド「Harvest Snaps」をはじめとする「Better For You(BFY)」カテゴリに勝算を見込む。
 「健康志向の強い層に認知され嗜好されていることが確認できており、このBFYカテゴリを広げることで市場拡大が図れる」とみている。

 このほど発表した2035年までの成長戦略「Accelerate the Future」では、オーガニック売上成長率を年平均7%と定め、売上高を前期計画の3390億円から2036年3月期までの10年間で8000億円規模へ引き上げる。

 営業利益率は、今後、新規投資による減価償却費の増加を見込むことから計画には盛り込まず、稼ぐ力の指標としてEBITDAを追求する。

 売上構成比は現在、国内コア事業7割、海外・新カテゴリ事業3割(うち海外が約2.5割)。2036年3月期の売上構成比は、国内コア事業5割、海外・新カテゴリ5割を計画する。

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