味の素冷凍食品は、今年も秋季商戦に向けて10数種類の新製品とリニューアル品を発売した。今年の製品発表会(体験会)はいつもと趣向を変え、新製品ごとにマルシェでマーケティング担当者と開発担当者が開発秘話や熱い想いなどを交えながら生の声を伝えた。
寺本博之社長は「冷食市場は堅調だが、だからこそ新規参入も多く、競合環境も厳しい」と指摘。「毎期ごとに多くの新製品が発売されるが、残念ながら短期間で姿を消すことを繰り返している」とし、「当社は味の素グループらしく、技術とブランドに裏付けられた商品の開発ストーリーや想いを、手に取ってもらえる理由とともにセットにして届けたい」と述べた。
杉田博司取締役常務執行役員は「新製品は、『家族で一緒に食事を楽しみたい』『一人でもおいしいものを食べたい』『タイムパフォーマンス良く調理をしたい』『健康に配慮した食事を摂りたい』など環境変化やニーズの多様化に対応しており、これらを一度に解決するには冷凍食品が欠かせない。今後も多様化ニーズに対応し、製品を強化する」と語った。
▼「コクうま味噌ギョーザ」=ご飯や餃子の中具の豚肉とも相性の良い味噌に着目した。家族で楽しむ餃子をコンセプトとし、「子どもでも大人でも満足してもらうのは難しいテーマだが、子どもでも食べられる甘味と、大人が喜ぶコクを両立させるため、“熟成甘味噌”に行き着いた」。「中具に味噌を使うのは業界初なので、かなりチャレンジングだった。20種類ほどの味噌を試したが、味噌の配合量には苦労した」と振り返る。味噌は長野県の熟成甘味噌を使用したが、「味噌ギョーザに行き着くまでには、いろいろな外食店を食べ歩いた。味噌は日本人になじみがあり、ご飯との相性がいいので期待している」と言う。
▼「鍋にスープに水餃子」=「煮溶けしにくい皮なので、鍋にもスープにも使える煮崩れ知らずの万能選手」と語る担当者は、新製品を野球の「新スタメン」に例え、期待感が大きい。「餃子には曲者が多いが、水餃子は気立てのいい、誰とも合う優しい存在だ」と、餃子とのライバル意識がのぞく。しかも一般的な水餃子は1袋当たり15~16個入りだが、鍋の具材が足りなくなった時や、スープがマンネリ化した時に、好きな時に好きな分だけ使える1袋24個入りも強調。初めて開発にかかわったという担当者は、「中具量を増やし、皮を減らし、皮の厚さと具材の量のバランスをとる」という難しい課題もクリアした。
▼「海老肉焼売」(リニューアル)=焼売に大ぶりの海老を乗せ、海老の存在感と彩りを強化。海老のプリッとした食感を際立たせ、食べ応えも強調した。「焼売に手で海老を乗せるのは簡単な作業だが、工業化によって定量の海老を焼売の真ん中にトッピングするのは難しく、3年を費やしてやっと実現した」と担当者。「焼売をもっと食卓に並べてほしい」という担当者の熱い想いがあったからこそ実現。「海老の食感とともに、見た目の楽しさ、華やかさにもこだわった」。
▼「XO醤香る肉焼売」=お弁当やおつまみなど副菜にも最適な、ひと口サイズの肉焼売。1袋15個入りがポイントで、副菜としてもたくさん使え、XO醤の香ばしさが広がり、冷めてもおいしい。「トレイ入りが条件の中で、どれだけ個数を増やせるかに苦労した」とし、「個数と販売価格、食シーンなど考慮しながら試作を100回近く重ねた」。