サントリー食品インターナショナルを束ねる価値観「生活者起点」とは? 小野真紀子社長が語る

 サントリー食品インターナショナルは、「生活者起点」という価値観でグループを束ねて、コーヒー・ティー・エナジードリンク・RTD(アルコール飲料)をグローバル展開の戦略カテゴリーと位置づけている。

 コーヒーカテゴリーでは「BOSS」ブランドを海外で展開している。

 タイでは「BOSS」のペットボトル(PET)でプレミアムコーヒーカテゴリーの創造に取り組んでいる。

 タイのコーヒー市場は拡大しており、この中でRTDコーヒー飲料市場も成長し、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーを含むコーヒー総消費量の約4分の1を占める。

 RTDコーヒー飲料市場は、21年から24年にかけて4年連続・CAGR10%で拡大する中、「BOSS」を含むプレミアムコーヒーカテゴリーは、缶のコモデティ商品と比べ倍近く高い価格帯でありながらも、市場を上回るCAGR24%の高い成長率を記録した。

 5月20日、取材に応じた小野真紀子社長は「まだまだプレミアムコーヒーカテゴリーのボリュームは小さいが、この中で『BOSS』を成功させるためには、お客様を消費者と捉えるのではなく生活者と捉えることが大事」と語る。

 海外の社員を交えて議論やワークショップを重ねて策定した同社ならではのDNAであり“考動指針”は「Always Together with Seikatsusha(生活者の喜怒哀楽に寄り添い、潤い豊かな人生を提供します)」。

 海外の社員に向けても、生活者という言葉をそのまま「Seikatsusha」とローマ字読みにして浸透を図っている。

 「消費者と捉えてしまうと消費の瞬間しか見えない。我々が理解を深めたいのは、どんな生活を送って、どんな性格・感情・価値観を持って商品を選んで下さっているかということ。海外のメンバーにとってSeikatsushaの発音は難しく、発音練習を含めて理解につとめている。このような姿勢からイノベーションを起こしていきたい」と意欲を示す。

 この考えのもと、タイではバイクタクシーのドライバーへの突撃調査やサンプリングを実施。ドライバーには商品を飲んでもらいながらヒアリングを行い、サンプリングはビジネス街などを中心に定期的に実施し、生活者理解に取り組んでいる。