宝酒造 「シェアよりファンづくり」 ブランド価値向上に注力 村田謙二社長

「市場シェアを上げるよりも、商品のブランド価値を一つずつ高めて、お客様に長く愛されるよう育成し、当社のファンになっていただくことを目指している」と話すのは宝酒造の村田謙二社長。「5年位前からマーケティングの考え方を変えた。それが社内に浸透し社員の意識や行動も変わってきた」と手応えを語る。

5月16日に開催した「2025年度事業方針説明会」で語ったもの。かつて同社のマーケティングは、まず各カテゴリーでトップシェアを目指し、そのポジションを生かしてさらに伸ばしていく方針だったという。

ただし、「このやり方ではどうしても価格戦略で市場を獲っていくことになる。そうなると原材料価格や為替が逆風になった際に価格転嫁が難しい。結果的に商品価値を落としてしまうことに気がついた」と振り返る。

約5年前、マーケティングの方針を価値重視に変えた上で、「タカラ『焼酎ハイボール』」「松竹梅白壁蔵『澪』」「極上<宝焼酎>」「全量芋焼酎『一刻者』」などを重点ブランドに位置付けて継続的なプロモーション等を展開。近年は「タカラ『辛口ゼロボール』」「松竹梅『昴』」「全量芋焼酎『ISAINA』」など需要創造型の新商品も積極的に投入し育成を図ってきた。

村田社長は「われわれも勉強しながらトライ&エラーを繰り返している。いずれはこのやり方で花を咲かせ、『宝酒造の製品はどれを飲んでもおいしい』『宝酒造の製品なら飲んでみよう』といった高みまでたどり着きたい」と力を込める。

6月27日付で自身は相談役に就き、後任には渋谷尚己常務が就任予定。村田社長は「今のやり方はうまくいくことばかりではないし、苦しい局面もあるが、方向性は間違っていないと思う。環境の変化に合わせながら、いまの路線を踏襲してほしい」と期待を寄せる。

渋谷次期社長は「各カテゴリーの重点ブランドにしっかりと注力していく。その中で当社ならではの技術や味わいが生活者の方々にも伝わるようにしていきたい」とした。

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