そうめん 価格高も需要は旺盛 多角的提案で底上げを 兵庫県手延素麺協同組合 井上猛理事長

3月から5%の価格改定を実施した兵庫県手延素麺協同組合。生産組合員の減少が進むなか、生産量維持・拡大のための設備投資や人財育成、高騰する人件費やコストに対応する。昨年9月からの上半期販売は好調に推移しており、これから本番を迎える春夏商戦への期待もかかる。井上猛理事長に商戦見通しや生産状況を聞いた。

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――今年度の販売状況と価格改定の影響は。

井上 令和6年度産の販売を3月8日よりスタートした。予定通り5%の価格改定を実施し、主力商品「揖保乃糸 上級品300g」の最盛期の店頭売価は348円が標準になるだろう。販売数量への影響も予想されるが、昨年9月からの出庫数量を見ても、前年度と比較して減少していない。この流れが続けば、春夏商戦もそれほど減退しないと予想している。価格改定をしたことにより店頭に商品がどう並ぶか、売場がどのように変化するのか見極める。同時に新CMなどとともに販促を強化して、手延べそうめんの価値や食べ方を多角的に提案したい。

――市況予測は。コメ不足や猛暑予報などの影響は予想されますか。

井上 米不足の影響により、食品業界では小麦粉製品が伸びている。手延べそうめんの引き合いが強まることも予想されるが、他産地も含めて全国的に生産者不足で、需要に対して十分に応えられない状況。単品商品については、どちらかと言えば、市場にどれだけ機械製そうめんのPBが出回るかによって左右されそう。ギフト商材は、近年の贈答市場をみると伸びる要素は少ないが、販促強化に取り組んで盛り上げたい。

――生産状況や新商品について。

井上 順調に生産できれば、5月に目標の104万箱(18㎏箱換算)に達する見込み。昨年11月までは気温が高く製麺に苦労したが、極寒期の12~2月は過去にないほど好天が続き、雪の影響も特になく、生産環境に恵まれた。今年度の製麺期間は、基本的にはそうめんを5月上旬前後、ひやむぎを6月末までと定めている。

昨年に揖保乃糸製品全般で「地理的表示保護制度(GI)」の認証を取得した。輸出向け商品や国内新商品からマークを添付して対応していく。今春発売した「かおるそうめん」は、日清製粉のうどん用麺粉「金斗雲」と高食物繊維含有小麦粉「アミュリア」を配合。両方の長所が合わさり、食物繊維が豊富でソフトな食感と香り高いそうめんに仕上がった。直営売店および一部の質販店を中心に営業したい。

――物流問題への対応。

井上 昨秋からレンタル・購入パレットを汎用性の高いサイズに変更。上級品300gやひやむぎを中心に、製品の約7割に対応していきたい。組合からの販売は倉庫渡しが基本になるため、運送会社や得意先にとって積み下ろしの時間短縮とコスト削減につながり、メリットが多くなる。互いにコミュニケーションを取りながら負担軽減と最適物流に努める。

株式会社アピ 植物性素材