ファミリーマートは、消費期限が近づいた商品に“涙目”のおにぎりのキャラクターが描かれた割引シールを貼付する取り組みを25年春から全国に拡大する。
「たすけてください」と情緒的に訴えるキャラクターの悲しげな表情や言葉で購入を促し、食品ロス削減につなげるのが狙い。
12月25日の説明会で岩崎浩執行役員マーケティング本部サステナビリティ推進部長は「SDGsやサステナビリティに協力したいが、どう行動すればいいか分からない方も多い。1日約1500 万人に利用いただく店舗基盤を生かした積極的な声掛けが、多くの人のアクションにつながる」と期待を寄せる。
イラストや言葉が「商品を(廃棄から)救おう」という優しい気持ちや購買につながる可能性にも触れる。
24年10月末日から11月26日にかけて、東京・神奈川の6店舗で行った実証実験では、通常の値引きシールを同シールに変更後、店舗での購入率が約5ポイント高まった。
これは1日当たりおにぎり4~5個分の廃棄ロス削減に換算される。「かなりの削減ができた」(同)との手応えを得る。
施策を全国拡大した場合、食品ロス削減効果は年間で約3000トンを見込む。
購入者からは「思わず助けたくなるイラストで手に取った」「食品ロス削減に関心があり購入した」などの声が聞かれ、消費者意識や関心に訴えるエモーショナルなマーケティングが購買行動を変える可能性が明らかになった。
同社は、21年から消費期限の近いおむすびや弁当など中食商品に値下げシールを貼る「ファミマのエコ割」を開始。全国の9割以上の店舗で活用されている。