キンレイは、販売好調な冷凍調理麺「お水がいらない」シリーズの増産とさらなる品質向上を図るべく、このほど新設した亀山工場(三重県亀山市)で1ラインを稼働させた。
投資額は約70億円。当面、新ラインは8時間稼働で年間1千万食を製造するが、近い将来に16時間稼働への延長と同じ建屋内での1ライン増設を視野に入れる。このほど開いた第1期工場完成お披露目会の席上、白潟昌彦社長は「当社は24年に創業50周年を迎えた。次の半世紀も進化・発展を目指す」と語った。
亀山工場は3月下旬から稼働。「お水がいらない」シリーズの専用ラインで人気商品の「ラーメン横綱」「横浜家系ラーメン」などを製造する。関東の筑波工場、関西の大阪工場に次ぐ3拠点目となり、新工場は大阪以東と名古屋以西への商品供給で適地と判断した。
増産の背景には「お水がいらない」シリーズの販売好調がある。独自技術の3層構造・2段凍結によるおいしさと簡便性でヒット商品となり、特にコロナ禍以降はスーパーを中心に需要が拡大、供給力が限界に達していた。前回、大阪工場(17年稼働)にラインを設置してからわずか7年での新ライン追加となる。
なお今回は第1期工事としており、3~4年後に第2期工事で2ライン目の稼働を計画する。また隣接地に将来構想用地を取得済みで、市場動向を見ながら第3~4期工事も検討する。
亀山工場の概要は田嶋徹常務生産本部長が説明。ラインの随所に最新設備を導入したが、場内に調理加工スペースを広くとったことも特長だ。企業ビジョン「専門店を超える専門店になる」を具現化する一環で、「スープや具材の内製化を進め、自分たちのレシピでこれまで以上に本格的なおいしさを追求したい」。
また人手不足が一段と深刻になる中、省力化・省人化への投資も行った。なかでも小麦粉の投入は新たに自動開袋機を導入し、包装・梱包工程は全面的な自動化で大幅な省人化を実現している。
環境への配慮も推進。製品倉庫、製品フリーザーなど全大型冷凍機に脱フロン・脱炭素型の自然冷媒を採用し、超高効率ボイラなど省エネルギー型の機器も導入した。
今後の見通しについて、白潟社長は「足元では高水準の需要が続いているが、亀山工場もあわせて供給体制を強化し、新商品の投入も検討していきたい」とした。
お披露目会には来賓で一見勝之三重県知事、櫻井義之亀山市長らも出席。祝辞の中で地元の雇用や将来の設備投資計画に対する期待を語った。
〈亀山工場概要〉
▽立地 三重県亀山市白木町字西大谷1672-3、亀山・関テクノヒルズ内
▽用地面積 3万5千674㎡(第1期計画 建築面積9千913㎡、延床面積1万5千334㎡)