日本うま味調味料協会は16日、川崎市川崎区の味の素グループうま味体験館で第8回「うま味調味料活用!郷土料理コンテスト2023」の表彰式を行った。
これは素材の味を引き立てるうま味調味料を活用して、おいしく減塩しながら、郷土料理の食文化や歴史を次の世代に継承していくことを目指したコンテストで、今回は学生や管理栄養士、家族など102チームのエントリーがあり、厳正な審査の結果、宮城県農業大学校アグリビジネス学部1年チーム“もぐもぐ隊”の作品「はらこ飯」が優勝、準優勝には親子3世代チーム“鷹島屋”の作品「角寿司」が選ばれた。表彰式では、入賞した4チームもオンラインで参加し、表彰状が授与され、プレゼンテーションでは料理を考案した狙いや減塩効果などが発表された。
表彰式に先立ち倉島薫会長は「私は海外駐在が長く、海外にいたからこそ、日本料理や郷土料理、栄養バランスの優れた和食のすばらしさを感じている。引き続き郷土料理を大切にして、うま味調味料を軸に調理を研究し、引き続きこのコンテストに参加してほしい」とあいさつした。
優勝した学生チーム“もぐもぐ隊”の「はらこ飯」(宮城)は宮城県を代表する郷土料理のはらこ飯を家庭料理用に提案。鮭の煮汁とはらこをほぐすお湯にうま味調味料を加えることで生ぐさみを抑え、うま味を付与しておいしい減塩を実現した。学生からは「うま味調味料を使って塩分を減らしても味を損なわず味付けが濃いという郷土料理のイメージを覆した」との感想があった。
準優勝の鷹島屋の「角寿司」(長崎)は、長崎県大村市の大村寿司と北松浦地方の押し寿司を融合させ、うま味調味料をブリの下味に使うことで生ぐさみを抑え、素材のおいしさを引き出した。プレゼンでは「子どもの頃に食べた懐かしい味わいが、うま味調味料を活用した減塩レシピで再現できた。試食してもらった結果、うま味が舌まで届き、総合的にも一番おいしかったという評価があった」と発表した。
なおアレンジ賞は秋田栄養短期大学田中ゼミナールの「馬かやき」(秋田)、郷土愛賞は“のこのこ”の「根曲がり竹のみそ汁」(長野)、SDGs賞はサウスキッチンの「中身汁」(沖縄)、減塩サクセス賞は南予もっと知らせ隊の「ひゅうが飯」(愛媛)が受賞した。
総評の中で審査委員長の中村丁次氏(日本栄養士学会会長)は、「このコンテストが8年も続くとは思わなかった。実験データも加えて応募するコンテストはほかには例がない。このコンテストは単なる郷土料理を発掘するものではなく、減塩問題に対して調理を工夫していることが特徴だ」と語った。
コンテスト終了後、倉島会長は「コロナが明けたこともあるが、応募者数が増えレベルが上がったことには驚いた。昔は郷土料理には手間をかけたものだが、今は電子レンジを使うなど工夫を凝らし、その発想には驚いた」など感想を述べた。
技術・広報部会が報告会
コンテストに先立ち日本うま味調味料協会は、23年度の活動概要を報告。この中で技術部会は、「2022年3月末に消費者庁より公開された『食品添加物の不使用表示に関するガイドライン』は、経過措置期間終了の24年3月末まで半年を切った。技術部会ではガイドライン策定前に行った『化学調味料無添加』商品実態調査結果をホームページで公開しており、経過措置期間の終了時にも同様の調査によってガイドラインの効果を計測し、HPでの情報公開を計画している」とし、広報部会も「化学調味料は消費者にとって不明確な名称になっており、内容物の誤認につながる」など報告した。