明治はこのほど、第1四半期の乳食品・調理食品部門について、販売状況や下期の方針などを発表した。三井基史執行役員グローバルフードソリューション事業本部長は「値上げの浸透と定着を最優先課題に取り組むなか、前年を上回り順調に推移している。明治の底力を出している」と評した。下期は引き続き、おいしさと健康・栄養、利便性など、消費者が価格に見合うと感じるような高付加価値商品を通して、価格の浸透・定着と物量の回復を目指す。
また、依然厳しい価格状況が続く輸入原材料の見通しについては、「円安や国際情勢など不透明な環境のなかで、引き続き乳原料はリスクとして見ていく」とした。
国産乳原料については、4月に加工向け、8月に飲用向けを対象とした乳価改定があった。
酪農家の離農も相次いでいることから、今後も乳価の動向を注視するとともに「いざとなれば、消費者にていねいに説明したうえで値上げの準備も必要だ」との認識を示した。
家庭用商品の部門別概況と下期施策などは次の通り。
チーズ部門は、3度の価格改定後も「明治北海道十勝」のスライスチーズやパルメザンチーズなど調理系チーズが牽引し前年・計画を上回っている一方、国産ナチュラルチーズは4月の価格改定が影響し前年を下回っていることから、最大シェアを誇るカマンベールとモッツァレラの需要喚起に注力する。
具体的な需要喚起策として、フライパン一つで豪華見え&満足感の高い“ワンパンカマン”を、8~9月にTBS系列の番組内で5回放送予定のインフォマーシャル、SNSなどを通じて訴求する。7月19日にECサイト「マクアケ」で発売開始した「明治北海道十勝カマンブルー」は、高価格帯ながら期待を大きく上回る売上を記録していることから、まずはEC中心に販売を拡大していく。
「明治北海道十勝カマンベールチーズ 燻製」は、今春に特許を取得した「まろやか燻煙製法」をパッケージ裏面にも掲載し訴求強化するほか、新商品として「明治北海道十勝6Pチーズ」の発売を予定。
発売から3年目の「明治北海道十勝生モッツァレラ」は、コロナ禍に発売したこともあって試食販売などができず認知度に課題を抱える。「味を知ってもらえれば喜んでもらえる」との思いから、今後は試食販売も予定。10~12月に放映するWeb動画、ちぎって手軽に楽しめるレシピ提案とあわせてトライアル獲得と商品認知を図る。
油脂部門は、「明治コーンソフト」の大型マーガリンや「チューブでバター1/3」シリーズが好調に推移している。「明治コーンソフト」は今年40周年を迎えることから、同じ40周年を迎える東京ディズニーリゾートとタイアップした消費者キャンペーンを9~12月に実施する。新商品は「明治チューブでチーズブレンド」を発売予定。
調理食品部門は、「銀座カリー」やスープなどECサイト含めて需要が拡大している。「まるごと野菜」シリーズは、1/2~1食分の野菜が摂れるスープやカレー商品。野菜の価格高騰や自炊疲れといった現代のニーズにマッチし需要が拡大していることから、さらなる売上アップを狙う。「まるごと野菜 完熟トマトのミネストローネ」「同じっくり煮込んだポトフ」は、現行品に比べ香料・食塩を減らし野菜本来の風味を向上するリニューアルを実施。1食当たり46kcal(じっくり煮込んだポトフの場合)など、低カロリーも訴求ポイントで、リニューアル品では現行品よりも目につきやすい位置に表示した。