産学官連携〈食の産学官連携⑩〉ソルガム地域循環モデルを構築 高圧加工米で新市場開拓も 信州大学

〈食の産学官連携⑩〉ソルガム地域循環モデルを構築 高圧加工米で新市場開拓も 信州大学

農業・食料・エネルギーの地域循環モデル(資料:信州大学工学部提供)
農業・食料・エネルギーの地域循環モデル(資料:信州大学工学部提供)

長野県は中山間地が多く、高齢化・人口減少により荒廃農地率は全国平均の約2倍。農業生産性の向上や高付加価値食品の創出による食・農産業の競争力強化は喫緊の課題となっている。こうした社会課題の解決を図り、信州大学工学部が中心となり「食・農産業の先端学際研究プラットフォーム(PF)」が2016年に発足。産学官・農商工連携による「信州そるがむ」の活動を通じ持続可能な「農業・食料・エネルギーの地域循環モデル」の構築を目指している。

ソルガムはアフリカ原産で「世界五大穀物」の一つとされる。日本での知名度は低いが、アレルギー物質を含まず、ポリフェノールやGABA、食物繊維など栄養価が高い。健康食品のほか、小麦粉の代用として様々な料理・菓子作りなどで活用が期待される。

PFプロデューサーの國井久美子氏(信州大学准教授)は「ソルガムは高温・乾燥に強く、水やりや除草など手間がかからないことから省力栽培が可能」としており、ソルガム栽培の普及を通じて耕作放棄地の解消を狙う。

また、ソルガムの茎葉は、えのきだけなど長野県が出荷全国1位のキノコの培地として活用できる。使用後の培地はメタン発酵により電気・熱エネルギーとなるほか、発酵残渣(消化液)は有機肥料として畑に投入される。

工学部の天野良彦教授(「信州そるがむで地域を元気にする会」理事長)は「地域が元気でなければ日本の未来はない。ソルガムを活用することで、食料やエネルギーなど地域で生産して地域で使う循環型社会のモデル構築を実現したい」と意欲をのぞかせる。

一方、農学部の藤田智之教授は2015年から5年に及ぶ産学連携プロジェクトで機能性富化米「高圧加工米」を共同開発。新たなコメ市場の開拓を図っている。

玄米や籾を、高圧処理機械(東洋高圧「まるごとエキス」)の中で加水・加温・加圧処理することにより、玄米の糠層の豊富な栄養・機能性成分を白米部分に移行できる。「高圧加工米は、ポリフェノール類やビタミンB群など栄養成分が豊富で、ヒト試験においても血糖値の改善や慢性炎症抑制効果が認められた」(藤田教授)としており、機能性表示食品(無洗米・パックご飯など)として市場開拓が期待される。

高圧処理機械の活用はコメだけにとどまらない。100MPa(1,000気圧=深海1万mの水圧に相当)の圧力処理で、細菌抑制や熟成化、エキス化など食品の新たな価値創造が可能となる。ただ、高圧処理はバッチ式生産であり生産性の面で課題も多い。

藤田教授は「プロジェクト終了後も、高圧処理技術を活用した商品の共同研究は続いている。今後出口となる商品開発がさらに進めば、生産性の問題もクリアされ事業として一つの形になるのでは」と抱負を述べた。

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