アクセス乾物乾麺市場開発研究会(AK研)の第4回総会が5月9日に開催され、会員企業が全国から参加した。
「日本伝統の美味しさを、まもる、つなぐ、つくる」を理念に掲げ、日本アクセスが19年に設立した同会。
同社の卸機能と全国のメーカーや生産者とのつながりを生かし、乾物・乾麺市場の発展を目指している。
日本アクセスの服部真也社長は「新たなウイズコロナの時代に移行する。足下では様々な要因が重なったインフレ、生活防衛意識の高まりもあり、取り巻く環境は厳しい。一方では高付加価値商品が求められるという二極化も表れている。商品の価値を、いかに生活者に認識していただくかがこれからのビジネスのポイントだ」と表明。同社設立30周年の節目を迎え、伝統食の需要拡大へ決意を新たにした。
AK研の新会長に就任した同社執行役員の淵之上明生氏は「22年度はコロナ特需の反動、価格改定による消費低迷もあったが、AK研の実績は拡大した」として会員各社の協力に謝意を示したうえで「乾物乾麺市場は減少傾向にあり厳しいが、課題に皆さまと向き合い、これからも業界全体のプラットフォームとなるべく努力していく」として、成功事例の横展開や新たな提案へ引き続き支援を求めた。
活動報告を行った日本アクセス乾物乾麺MD部長の笠松裕也氏によればAK研会員159社を合わせた22年度販売実績は前年比103・7%と続伸。前年割れとなった市場を引き離し躍進した。
このうち乾物は103.3%、乾麺は105.0%といずれも好調。前年に立ち上げたデリカ・外食流通研究会、次世代ビジネス研究会が、小売や外食各社に向けた提案の採用で大きな実績を作った。
会員企業からは、取組事例を報告。三重県伊勢市の伊勢ひじき製造本舗・北村物産の北村裕司社長は、近年のひじき需要低迷の要因として食の欧米化や健康番組の減少などを挙げ、ライバルの洋食食材に対抗するAK研の重要性を強調。
さらに商品の容量減による「シュリンクフレーション」も消費量の減退につながっていると警鐘を鳴らしたうえで、日本アクセスが参加する「離島プロジェクト」を通じた長崎・五島列島産のひじき復活に向けた取り組みを紹介した。
また常陸屋本舗の龍野敏満社長は、焼麩市場拡大への開発事例を報告。食の洋風化で麩が使われる機会が減っていることから、若い世代に使ってもらえる商品として17年に発売した彩り豊かなハートや星形の麩「カラふル」が、「かわいい」「インスタ映えする」と話題に。シリーズ化とともに導入企業も増え、コーヒーチェーンのメニューにも採用されるなど、新たな需要をつかんだ。
日本アクセスの留型商品として共同開発した「もっちりじゅわっとまる麩」も、味の素とのコラボ販促などで順調に売れ行きを伸ばしているという。
日本アクセス子会社のD&Sソリューションズ・岩崎隼弥社長からは「情報卸」の取り組みについて解説。メーカーの開発担当者の思いが詰まったコンテンツを、小売企業のアプリを通じて生活者に届ける新しい広告宣伝のあり方が紹介された。
締めくくりに、AK研の副会長を務めるにんべんの髙津伊兵衛社長があいさつ。
「3年にわたるコロナ禍も収束に向かい、この間にAK研は着実な活動と成果を残してきた。各社が単独でできることは限られ、流通や生活者すべてにアプローチすることは難しいが、流通各社は専門家の技を知りたいと思っている。それらをつなぎ、守ることがAK研であり日本アクセスだ。そのプラットフォームを通して1+1が2ではなく何倍にも広がり、発展していくことを願う」と述べた。