産学官連携区内町工場を共同体化 I-OTAが進める地域活性

区内町工場を共同体化 I-OTAが進める地域活性

東京都大田区では、プロジェクト単位のものづくりを「ハブ」となる事業体を設立することで企業間ネットワークを有機的に運用し、町工場の共同体化と地域活性化を推進している。I-OTA(以下、アイオータ)は、大田区の推進する「IoTを活用した「仲間まわし」による中小企業の生産性向上プロジェクト」をきっかけに設立されたプロジェクト型共同事業体。「仲間まわし」とは、ものづくりのための連携ネットワークの呼称として昔からこの地域で使われてきた言葉だ。

区内にあるおよそ3千の企業情報をデータベース化し「大田区ものづくり企業サーチ」を運用する大田区産業振興協会と連携し、町工場の「次世代型仲間まわし」によるものづくりの連携ネットワークを構築している。

今年3月、その成果の一つである急斜面用草刈機「斜刈機(シャカリキ)」の市販が開始される予定だ。平地平面はもちろん、50度を超える急斜面でも滑落の心配なく作業でき、重量200kgあった従来品に対し25kgと軽量小型化し販売価格も従来品の半額以下となっている。

同製品は、農研機構 西日本農業研究センターが持つ原案と特許を具現化したもの。国内の農業従事者は80%が60歳以上という超高齢化産業。山間部の耕作地では現在も草刈機を背負い急斜面の草刈りを強いられ、様々な危険が伴う重労働だ。これらの課題解決に向け区内の「ものづくり」企業が持つ多彩な技術と経験を有機的に活用し、商品化にこぎ着けた。

このほか、大田区と「フード・アグリ分野における地方創生に向けた業務協力に関する覚書」を締結した野村アグリプランニング&アドバイザリーと協働し、農業分野の関連企業・農家などと協議を重ね、新商品開発・脱炭素化・新規事業創出に取り組んでいる。

「食品業界にも、製造や流通業の現場には様々な隠れた需要がある。それを私たちの技術力で形にしていきたい」(アイオータ・國廣愛彦代表社員)、「量産品の製造は難しいが、量産品にはできない「隠れた需要」を形に変えることができる。そこが町工場の持ち味」(同・西村修業務執行社員)と語り、農業分野だけでなく食品産業全体に幅広く呼び掛け、今後大田区だけでなく全国の町工場とのつながりを深めながら技術力をさらに結集し、現場の省人化や省力化、効率化といった課題解決に取り組みたいとしている。

関連記事

インタビュー特集

Mizkan フルーティス刷新(後編) 「新・果実体験」を提供 リフレッシュしたい時に

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。家庭用では業務用で人気の「シャインマスカット」「あまおう」「白桃」を、家庭用・業務用の双方で「ざくろ」を新発売した。

Mizkanフルーティス刷新(前編) 果実のおいしさが主役の新製法 マーケティング本部 田中菜々美氏に聞く

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。