コンビニのカップ麺売場でPBの存在感が一段と高まっている。きっかけは2022年6月に上位メーカーが価格改定を実施し、NBの売価が軒並み200円を超えたことだ(一部除く)。本紙の取材に大手コンビニ3社はPBの販売拡大を明らかにし、「価格を上回る価値が支持されている」「カップ麺カテゴリーの売上は好調」と手応えを話す。
カップ麺市場のうち、業態別でコンビニの構成比は約3割(販売金額ベース、業界推計)とみられる。限られた売場スペースの中、誰もが知るロングセラーのNBを核としながらも、アイテム数ではPBの存在感が大きい。後者の主流は大手メーカーとの共同開発品。値ごろ感ある商材から有名店監修の高価格帯まで多岐にわたる。
セブン&アイホールディングスは、このほど公表した第3四半期決算説明資料の中で、セブン―イレブン・ジャパンで主力PB「セブンプレミアム」の成長が再加速していることを強調。その一例としてカップ麺の単品売上ベスト10(22年11月21~27日の1店舗/日当たり)を公表し、1位「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本辛旨味噌」、2位「同 蒙古タンメン中本トマト&チーズ味」、3位「同 天ぷらそば」、4位「同カレーヌードル」、5位「同 醤油ヌードル」などオリジナル商品が上位を独占しているとした。これはNBが中心だった1年前と顔ぶれが様変わりしており、インパクトの大きい結果と言える。オーソドックスなラーメン・うどん・そばの価格は税別118~128円(当時)が主体で、価格優位性が生きた格好だ。また1位の「同 蒙古タンメン中本辛旨味噌」は200円超ながら圧倒的な人気を誇る。他にも「セブンプレミアムゴールド すみれ 札幌濃厚味噌」(税込300円)など充実の品揃え。
セブン&アイHDの広報担当は「カップ麺カテゴリーは買上点数・売上金額ともに昨年を超えている」とした上で、「『セブンプレミアム』の値ごろ感が支持されている。また安さだけでなく、価格を上回る価値を感じていただけている」。今後は既存PBの磨き込みを優先しつつ、市場ニーズに応える新たな商材の開発も進める。
ファミリーマートは、6月以降のPBカップ麺が約10%伸長した。「カテゴリー全体の販売数量は前年並みで、単価アップの効果により売上は好調」(広報担当)。「ファミマル」ブランドとして、「濃厚札幌味噌」「濃口つゆきつねうどん」(税込150円)などをレギュラークラスに、「来来亭 背脂こってりラーメン」(同238円)、「琴平荘 味噌そば」(同298円)などの付加価値品まで多彩なバリエーションを誇る。今後は「品質にこだわった価値ある商品を開発し、お客様から期待値の高いPBの品揃えを充実させる」。
ローソンも6月以降はカップ麺で手ごろな価格帯のPB(税込129円)が伸びた。アイテムは「しょうゆラーメン」「天ぷらそば」など。カテゴリー全体の実績を100とした場合、同種のPBはプラス64ポイントも上振れしたという。付加価値のある「名店シリーズ」(同258円など)にも注力。「トナリ」「六厘舎」「無鉄砲」など人気コラボは数多い。「引き続き有名店監修とお手ごろ価格の両方を強化し、メリハリ消費に応える」(広報担当)。