防災食、非常食の尾西食品は12月23日、東京・千代田区北の丸公園の科学技術館で小学1年生から6年生とその保護者を招き、非常食について学ぶワークショップ「親子でアルファ米の試食体験『非常食について学ぼう』」を、科学技術館の「学ぼう!気象⇔防災~北の丸防災講座」の一環として開催した。
ワークショップでは尾西食品の社員2人が、「非常食とは何か」「なぜ非常食が必要なのか」「非常食にはどんなものがあるか」「非常食はどのように作るか」など非常食の基礎から、アルファ米の中身など専門的な知識までを2回に分けて説明。非常食を体験することで、防災や非常食をより身近に、自分ごととして考え、家族で備蓄を見直すきっかけにしてほしいと開かれた。
「日本は災害大国と言われ、地震や豪雨、洪水などいろいろな災害が多発している。その時にガスや水道、電気が止まると食事が作れない可能性がある。それには災害発生からの3日分の食事は自分で準備することが大事」と前置きし、賞味期限が5年6か月の、水なしで食べられる「ライスクッキー」や「ひだまりパン」、野菜が入った「一汁ご膳」。また、水やお湯で戻せる「アルファ米ごはんシリーズ」やアルファ米で作った「携帯おにぎり」や「山菜おこわ」「チキンライス」「ドライカレー」などを紹介した。
さらにアルファ米の中身を、より詳しく知ってもらうため、尾西食品の宮城工場のアルファ米製造工程をビデオで鑑賞。その中で、お米の70~80%を占めるでん粉には、硬くて消化しにくい「βでん粉」と、水と熱を加えると柔らかくて消化しやすい「αでん粉」とがあり、尾西食品のアルファ米は「αでん粉」の状態から急速乾燥しているので、水分を足すだけで炊きたてのおいしいごはんに戻すことができることを学んだ。
試食では、壱番屋とのコラボレーション商品である「CoCo壱番屋監修 尾西のマイルドカレーライスセット」を、説明を聞きながら調理した。初めて調理する参加者も多く、「アルファ米には炊飯器でごはんを炊く時と同じような香りがしておいしかった」「アルファ米はべちゃべちゃするイメージだったが、炊飯器で炊いたごはんと変わらない食感なので感激した」「普段、外食でココイチのカレーを食べるが、非常食でも同じ味わいなのでおいしかった」などの感想があった。中には東日本大震災で被災し、「当時は幼児用の粉ミルクが手にはいらなくて苦労した」と切実な経験をもつ人など、思い思いの考えによる参加者により、約1時間のワークショップが行われた。
最後に尾西食品から「非常食は引き出しにしまっておくのではなく、休日など日常生活の中で実際に食べてみて、いざという時のために普段から作り方を練習してほしい」「非常食は遠い存在と思われがちだが、身近な食品として日常生活の中に取り入れ、各家庭で自分に合うものを探してほしい」「避難所で困っている人がいたら、アレルギー対応やハラル対応の商品も売られていることを教えてやってほしい」などのアドバイスがあり、参加者全員にクリスマスプレゼントとして「ポケモンライスクッキー」と「携帯おにぎり」をプレゼントした。
フォーラムを終えて西村太営業本部防災営業部部長は「昨今、地震や大雨、豪雪などが相次いでおり、非常食の需要は安定的に伸びている」。3本柱の法人、企業、個人のうち法人、企業向けが多く、学校や官公庁、市町村、県庁、消防署、警察などにも行きわたり、「最近はコロナによりテレワークが増え、社員が個々で備蓄しなければならなく、ECや通販が伸びている」と言う。
年間を通して様々な啓発活動を行っている同社だが、「イベントが終わって自宅に戻り、『家では災害時のための食べ物はあるか』『食品の賞味期限は大丈夫か』『水やトイレの備えはあるか』などを確認し、防災を認識してもらうことが大事」と語り、「2023年は関東大震災から100年目にあたる節目の年だけに、改めて防災の必要性を思い出してもらうきっかけにしてほしい」と述べた。