転機のビール類市場 アサヒが2工場閉鎖へ 飲料も製造の新拠点計画

17年連続で縮小が続くビール類市場。アサヒグループジャパンは中長期的な市場動向を踏まえて生産拠点を再編しグループのサプライチェーンを再構築する。

「スーパードライ」などを製造するアサヒビール神奈川工場・四国工場は来年1月末で操業を終了する一方、博多工場は26年をめどに移転。ビール類のほかビールテイスト飲料やRTD、アサヒ飲料製品など、グループの多様な製品を製造する新九州工場(仮称)としての操業へ向けて準備を開始する。

閉鎖を決めた2工場は比較的小規模のため固定費の負担が重く、コロナ禍での稼働率低下もあり昨年から本格検討を進めてきた。関東の茨城工場、関西の吹田工場がカバーすることで、供給面への影響はないという。従業員はグループ内での配置転換により雇用を維持する。

15日の決算説明会でアサヒグループHDの勝木敦志社長は「(ビール類市場は)ビール減税の後も著しい増加はないだろう。来年以降に回復しても、よくてフラットという見立て。生産年齢人口が減少しているので、それ以上増えることは難しい」と再編の背景を説明する。

他方でRTDや低アル・ノンアル飲料などは今後も拡大が見込まれ、酒類や周辺カテゴリー全体では需要を維持できるとみる。酒類・飲料をトータルに製造する「ハイブリッド工場」と位置付ける新九州工場を中心に、国内ビール工場の生産能力を最適化し稼働率を向上。グループ全体でのコスト競争力を高める計画だ。

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