おうち時間、こだわり消費、定番回帰…風つかみ「一歩先」の提案 サッポロビール ワイン&スピリッツ方針

「いちばん星マーケティング」を掲げるサッポロビールでは、今年のワイン&スピリッツ事業でも同社らしい市場創造型のマーケティングを展開する。

ワイン&スピリッツ事業部長の三上浩嗣氏は、1日の方針発表会で「目指すのは『誰かの、いちばん星であれ』。言い換えれば、先を見据え絞りの効いた事業展開で新しいお酒のある世界観を作り、お客様の心を動かして共感・愛着・信頼を得ること。一歩先の価値提案で、豊かな世界をお客様に実感していただきたい」と述べた。

21年の売上高はワインが96%と、マイナスながら市場を若干上回る実績。他方で混和焼酎、RTS、ウイスキーは前年を上回り好調だった。業務用の不振が続くなか、ECを含む家庭用の強化とブランド構成の見直し、SKU削減などが奏功した。

今期は熱狂的なファンづくりに向け、ブランド力を生かしプレミアム市場を開発するとともに、家庭用での支持拡大へワイン&スピリッツならではの自由な楽しみ方でリーズナブル価値を高める提案を実施。ワインは前年比112%、スピリッツは110%の売上高を目指す。

「お酒に求めるニーズが変化している。外食機会が減り家飲みが増加、家での非日常感やプチ贅沢が求められ、またエシカル消費などモノよりもコトへのニーズが高まっている」(マーケティング統括部長の柿内望氏)とみる。

「おうち時間の充実」へRTSを強化。成長を続ける「濃いめのレモンサワーの素」は、レモン感の強さで家庭用・業務用の両方で支持を獲得。今春のリニューアルではレモン果汁と果皮の香りをアップさせ、強みのレモン感を強調した。

また「こだわり消費」への対応として、ワインを強化。日本ワイン「グランポレール」では、来年に迎える20周年に向けてリアルとデジタルの融合施策が本格始動。東京・大阪でブランド名を冠したバー2店を展開するほか、SNSやECでの新たな接点を拡大する。

さらに定番回帰の流れを背景に、プレミアムワインにも注力。シャンパン「テタンジェ」を柱とする伝統国ブランドを強化する。またスピリッツではスコッチウイスキー「デュワーズ」や「バカルディラム」など4大ブランドで新しい飲み方提案によるブランド体験を強化。顧客接点の創出を図る。

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