キリンビール布施社長死去 組織風土改革に尽力

キリンビール代表取締役社長の布施孝之氏が1日、心室細動のため都内の病院で死去した。享年61歳。告別式は近親者のみで執り行う。香典・供花は辞退する。「お別れの会」の日程などは後日発表する。

布施氏は1960年(昭和35年)生まれ。82年に早稲田大学商学部を卒業後、キリンビールに入社。2001年10月首都圏地区本部東京支社営業推進部長、05年首都圏統括本部首都圏営業企画部長、08年近畿圏統括本部大阪支社長、10年小岩井乳業社長、14年キリンビールマーケティング社長を経て15年1月からキリンビール社長を務めていた。

一貫して営業畑を歩み現場主義を徹底。社長在任中は「お客様のことを一番考える会社」を目指し、現場を回って社員との対話を繰り返した。低迷期にもぶれずに判断基準を「お客様」に置き、主力ブランドへの集中投資と、客を徹底的に理解する文化の醸成を行って組織風土改革を実施してきた。「本麒麟」ヒット、「一番搾り」再成長を実現した。

コロナ禍では環境変化への対応を進め、家庭用市場ではクラフトビールや「ホームタップ」といった高付加価値品を発売。飲食店向けには小容量でロスの少ないサーバーに注力し、課題解決に尽力してきた。

社内では若手社員向けに「布施塾」を開講、将来の幹部育成に努めた。

キリンホールディングスの磯崎功典社長は「突然の悲報に接し、社員全員まだ現実として受け止められていない。キリンビールを強い組織に改革し、この先もキリンビールの商品やサービスで世の中に笑顔と幸せをもたらしたい、という強い思いで取り組んでいた矢先であり、今は喪失感に苛まれている。誰よりもお客様のことを一番考えていた布施社長の思いを、残されたわれわれ全員でしっかりつなぎ、少しでも布施社長に安心してもらえるよう全力で取り組んでいく」とコメント。

なお、キリンホールディングスの磯崎功典社長が当面の間、キリンビール社長を兼任する。