「コロナでスイーツ専門店に行けない」 ローソンが特化型専門店のこだわりを追求 日頃から楽しめる特別感・ご褒美感の新シリーズ展開

ローソンは、バター専門店やモンブラン専門店といった素材やメニューにこだわった特化型専門店が19年に続々オープンしたことを受けて、4月にスイーツの新シリーズ「Uchi Cafe Specialite(ウチ カフェ スペシャリテ)」の開発に着手。

機を一にしてコロナ禍となり「3月頃からコンセプトを練り始めたが、突如、在宅勤務になり私自身もストレス解消を求めていた」と振り返るのは「スペシャリテ」開発の旗振り役になった商品本部商品コンセプト開発部の吉田祐子氏。

「スイーツ店が軒並み休業し人気のお店にも行けなくなったことから、楽しめることをベースに考えていった。その後、外出できるようにはなったものの、同じ遠出でも“ちょっと遠出”になるなど自分の守備範囲が少しずつ狭くなっている状況には変わりはない」と続ける。

「雲泡クリームのショート」(Uchi Cafe Specialite)(税込295円)10月27日発売 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「雲泡クリームのショート」(Uchi Cafe Specialite)(税込295円)10月27日発売

このような思いも加味して「スペシャリテ」は、スイーツ専門店に行きたくても行けない未充足なニーズを満たすものとして仕上げられ、10月27日から順次発売される。

「専門店品質を目指したのではなく、特化型専門店がお客様にどういうことを伝えようとしているかを一番掘り下げた。伝えたいことをローソンに置き換えたらどうなるかを考えた」という。

たとえば「スペシャリテ」の一品「雲泡クリームのショート」では、生クリーム専門店のこだわりを考え抜いた。

「クリーム自体を味わうことをベースに突き詰めて考えると、ショートケーキにイチゴはいらない可能性があることに気がついた。クリームも外国産・北海道産、本当に生クリームでいいのかを考えて厳選した」と説明する。

「栗堪能モンブラン」(Uchi Cafe Specialite)(税込320円)10月27日発売 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「栗堪能モンブラン」(Uchi Cafe Specialite)(税込320円)10月27日発売

「雲泡クリームのショート」は、外側と内側で異なる2種類のブレンドクリームを使用。

外側は北海道産牛乳を加えたコクのあるクリームにする一方、内側のクリームは「飽きがこないように、スッと消えていく後味に仕立てた」。

モンブラン専門店のこだわりを追求した「栗堪能モンブラン」も、底部にあるメレンゲのサクサク感で飽きさせないように工夫。

「モンブランの一番の醍醐味はクリームから感じられる栗(マロン)だと思っている。マロンクリームをコク深いものにして、マロンスポンジ・マロンホイップ・マロンバタークリームとマロンづくしにしたが、くどくならないように一番下にメレンゲを入れた」。

そのほか「麗溶けチーズテリーヌ」と「ほくとろ豊潤スイートポテト」の2品も、特化型専門店の思いを解釈し最後まで飽きさせないように工夫されている。

「麗溶けチーズテリーヌ」(Uchi Cafe Specialite)(税込295円)10月27日発売 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「麗溶けチーズテリーヌ」(Uchi Cafe Specialite)(税込295円)10月27日発売

「麗溶けチーズテリーヌ」は「チーズの芳醇さ・香り高さ・なめらかさを表現すべく考えた」とし、オーストラリア産と北海道産の2種類のクリームチーズに生クリームを加えて低温で湯煎焼きすることで「ふんわりして、なめらかさがずっと続くようにした」。

「ほくとろ豊潤スイートポテト」は、256層に折りたたまれたパイ生地をアクセントとした。「ほくごくの焼き芋の感じと、とろりとした蒸し芋が一度に楽しめる欲張りなスイートポテトで、香ばしさと少ししょっぱいパイ生地と合わさり食べ続けられる」と語る。

「スペシャリテ」の価格帯は300円前後。350円以上の価格帯のGODIVAなど共同開発商品がブランドの世界観や限定感・贅沢感を強調したものであるのに対して、「スペシャリテ」では「日頃から非日常を楽しんでもらえる存在として、贅沢というよりも、特別感やご褒美感が得られるように開発した」。

ローソンのチルド和洋菓子の売上高は14年から19年度の5年間で約1・5倍に成長。今期3-9月では、前年同期比で約1割伸長。この動きについては「コロナ禍でストレス解消や癒しを求めて、自分へのちょっとしたご褒美・プチ贅沢ニーズが高まったとみている」。

「ほくとろ豊潤スイートポテト」(Uchi Cafe Specialite)(税込270円)11月3日発売 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ほくとろ豊潤スイートポテト」(Uchi Cafe Specialite)(税込270円)11月3日発売

ローソンは当初4割の構成比だった女性層に着目して09年9月に「Uchi Cafe SWEETS(ウチ カフェ スイーツ)」を立ち上げ、情緒的価値に重きを置いたスイーツを展開。

「プレミアムロールケーキ」を皮切りにヒットを飛ばし、近年はGODIVA商品や「バスチー」「ホボクリム」など新感覚スイーツが好調で、女性層の取り込みにも成功している。

スイーツ購入層の男女比は逆転し、現在は女性層が6割を占めている。

チルド和洋菓子は現在、「プレミアムロールケーキ」をはじめとする定番スイーツ、「バスチー」などの新感覚スイーツ、高価格帯のGODIVAなどの共同開発商品――の3つを柱とし、27日から新たな柱として「スペシャリテ」が加わる。