4月の消費、内食シフト鮮明 業態により明暗分かれる

4月のチャネル別動向がまとまった。内食需要の増加でチェーンストア、食品スーパーの食品販売額は1割増と伸長した一方、外食は4割減、百貨店は7割減と大打撃を受けた。

チェーンストア 既存店9.5%増 食品に需要殺到

4月度のチェーンストア総販売額(56社1万770店)は、全店ベースが前年比95.5%(1兆162億4千982万円)、既存店ベース95.5%。

緊急事態宣言発出に伴う内食需要増により、食品は全店108.7%(7千460億7千69万円)、既存店109.5%と伸長したが、販売構成比の約2割を占める住関品が全店86.4%、既存店85.8%と低迷。販売構成比が3%とはいえ、衣料品も全店45.7%、既存店46.3%と落ち込んだ。

食品の内訳は、その他食品(加工食品・酒類)が全店109.5%(3千963億7千532万円)、既存店110.8%、惣菜が全店93.6%(796億4千233万円)、既存店92.8%と明暗。生鮮3品の既存店伸長率は、農産115.4%、畜産品118%、水産品105.7%といったように、素材物が好調に推移した。

その他食品では、巣ごもり、内食ニーズや健康意識の高まりなどを受け、米、乳製品、ヨーグルト、乳酸菌飲料、パスタ関連、ピザ類、中華麺・乾麺、インスタントラーメン、カレー・スープ類、冷凍食品、はちみつ、納豆、豆腐、漬物、缶詰、小麦粉、製菓材料、ホットケーキミックス、シリアル、調味料、レギュラーコーヒー、菓子類、酒類などが好調だった。

一方、惣菜については、要冷惣菜は堅調だったが、温惣菜の苦戦がマイナス要因となった形。在宅勤務の機会増なども背景に、家庭内での調理機会が増えたことで、生鮮品の需要が増加し、その影響で温惣菜の需要に影響を与えたものと見られる。

食品スーパー 既存店10.7%増

全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の食品スーパー3団体による4月の売上高(集計企業数270社)は、全店12.3%増、既存店10.7%増となった。

食品は全店14.4%増、既存店12.5%増。既存店の各部門は次の通り。青果15.8%増、水産7.2%増、畜産18.9%増、生鮮3部門計14.6%増。惣菜4.7%減、日配14.7%増、一般食品14.8%増、非食品6.1%減、その他8.6%減。

一斉休校や在宅勤務で家庭内需要が大幅に増加し各部門とも好調だったが、惣菜は、ばら売り中止や行楽需要の低迷に加えて、仕事帰りに惣菜を買う客が減少するなど、夕方以降の不振も響いた。

コンビニ 既存店10.6%減

4月のCVS売上高は、既存店10.6%減となった。在宅勤務や外出自粛の拡大により客数が18.4%減と落ち込んだ。

一方、冷食やレトルト、酒類などのまとめ買い需要から、客単価は9.5%増(688.3円)と伸びた。

全店ベースでは、売上高10.7%減、客数18.7%減、総店舗数0.2%増(5万5千772店)。既存店のカテゴリー別売上高は、日配13.0%減(構成比35.0%)、加工食品8.5%減(27.6%)、非食品7.5%減(31.5%)、サービス21.8%減(5.0%)。

日生協、宅配16%増

日本生活協同組合連合会がまとめた、全国64主要地域生協の4月度供給高(売上高)は前年同月比15.3%増となった。内訳は店舗14.8%増、宅配16.3%増。宅配のうち個配は18.5%増。店舗・宅配ともに3か月連続で前年を上回った。

百貨店 三重苦直撃 7割減 食品は善戦も半減

4月の百貨店売上高は、前年同月比72.8%減となった。外出自粛の継続に緊急事態宣言に伴う営業休止が重なり、さらにインバウンド売上高は98.5%減とほぼ全滅。1965年の統計開始以来最大だった前月(33.4%減)の減少幅を、大幅に更新する結果となった。

地区別では、都市部全体で76.0%減。東京76.1%減、大阪78.9%減、名古屋73.2%減など、大都市ではインバウンドへの依存度が高いこともあり、いずれも激減した。その他の地区全体では64.2%減。

商品別では、食品フロアのみ営業した店舗も多かったため食品全体では53.0%減と比較的善戦。生鮮食品が約31.6%減と健闘した一方、贈答品が多い菓子は66.6%減、惣菜は55.5%減、その他食品が52.2%減となった。

そのほか衣料品は82.7%減、身の回り品82.8%減、雑貨78.7%減、家庭用品59.6%減。

外食 全店売上高40%減 飲酒業態は9割減

日本フードサービス協会がまとめた4月度の全店売上高は、前年同月比39.6%減と調査開始以来、最大の下げ幅となった。休業や営業自粛により、客数が40.1%減と大きく落ち込み、業種別ではパブ・ビアホール96%減、居酒屋90.3%減、ディナーレストラン84%減、喫茶72.4%減と壊滅的な打撃を受けた。総店舗数は1.1%減、客単価0.8%増。

業態別の売上高は▽ファーストフード15.6%減(客数26.6%減、客単価15%増)▽ファミリーレストラン59.1%減(59.3%減、0.6%増)▽パブ/居酒屋91.4%減(89.5%減、17.8%減)▽ディナーレストラン84%減(82.9%減、6.3%減)▽喫茶72.4%減(67%減、16.4%減)▽その他50.2%減(58.2%減、19.1%増)。

ファーストフードはテイクアウト需要の増加で洋風が2.8%増と前年を上回ったが、和風15.8%減、麺類54.6%減、持ち帰り米飯/回転寿司21.6%減、その他31.3%減。外食激減の中、テイクアウトや宅配・ドライブスルーなどの対応で2~3割減に踏みとどまった。

ファミリーレストランは洋風59.2%減、和風64.9%減、中華37.7%減、焼き肉69.1%減。中華は餃子などのテイクアウトで落ち込み幅を抑えた。

パブ/居酒屋はパブ・ビアホール95.9%減、居酒屋90.3%減。多くの店舗が休業し、営業継続の店舗も多くの自治体で酒類提供は夜7時までの時短営業を余儀なくされ、壊滅的な打撃を受けた。ディナーレストランも同様。喫茶は商業施設内に加え、ビジネス街立地の休業も響いた。