鹿児島県・伊仙町篇⑪
徳之島コーヒー、生産体制を強化 台風乗り越え22年に1t目標 味の素AGFが説明会

徳之島コーヒー生産支援プロジェクトは、徳之島コーヒーの生産拡大に向けた取り組みを強化しながら進捗している。

昨年9月に過去最大級の台風が襲来し、主要生産拠点となる徳之島南端の伊仙町が被災。約半数の木が被害にあったが、台風対策や土壌研究、苗づくりなどが急ピッチで進められ22年には1tの生豆(グリーンビーンズ)生産が現実味を帯びてきた。

同プロジェクトは、伊仙町役場、徳之島コーヒー生産者会、味の素AGF社(AGF)、丸紅の4者が17年6月に立ち上げたもので、徳之島コーヒーが次世代につながる事業へと発展していくことを主目的としている。

4者はこのほど徳之島コーヒー生産者会のコーヒー畑を巡回し土壌検査と調査を実施。土壌検査は、丸紅の協力により肥料の三要素と呼ばれるチッ素・リン酸・カリにとどまらない精緻な内容で行い、この結果を今後の土壌づくりに役立てていく。

――高さ1m以上を成木(せいぼく)。
――高さ1m未満を幼木(ようぼく)。

このような基準を設けて調査したところ、成木は少なくとも1千500本あることが確認された。

成木・幼木に加えて、丸紅が提供した種が高い確率で発芽し、現在、育苗中のものは3千500本にのぼる。

新たに拓かれた「AGFコーヒー実証農場」(第二圃場)で徳之島コーヒー生産者会の吉玉誠一代表㊨と泉延吉副会長(19年10月撮影)
新たに拓かれた「AGFコーヒー実証農場」(第二圃場)で徳之島コーヒー生産者会の吉玉誠一代表㊨と泉延吉副会長(19年10月撮影)

このうちの委託先で育苗された500本は、新たに拓かれた広さ12a(1千200㎡)の「AGFコーヒー実証農場」(第二圃場)に植えられる。今後AGF社員が主体となって本植する予定。

18年4月に拓かれた第一圃場(面積8a)には現在180本の幼木が育てられている。

コーヒーは収穫まで苗木から数えて3~5年かかるとされる。

種から苗木への増産体制と苗木から成木への増産体制が整いつつあり、現在の苗木が成木になる23年頃を皮切りに生産量が飛躍的に拡大する可能性を秘めている。

これに立ちはだかる暴風・台風対策や生産体制の確立も同時並行で進められている。

プロジェクト説明会で(左から)大久保町長の代理で出席した伊仙町役場の中島正敏経済課課長、吉玉誠一代表、品田英明社長、丸紅の梶原和幸氏
プロジェクト説明会で(左から)大久保町長の代理で出席した伊仙町役場の中島正敏経済課課長、吉玉誠一代表、品田英明社長、丸紅の梶原和幸氏

11月5日、AGFは同プロジェクトのメディア向け説明会を開催し、AGFの品田英明社長は「収穫量は現在100㎏に満たなく島内の消費でほぼ終わっているが、3年後の22年には何とか目標の1tに達しテスト販売を行い23年から数量限定で発売していきたい」と語った。

生産者会からは玉誠一代表と泉延吉副会長が出席し、玉代表は「2、3年後には皆さんのもとに徳之島でつくられたコーヒーがお手元に届くように努力している。花の香が漂う季節に一度徳之島に来てほしい」と訴えた。

丸紅の梶原和幸飲料原料部長は商社の立場から

①世界のコーヒー生産量の推移
②世界のコーヒー消費量の推移
③世界のコーヒーの需給予測
④サスティナビリティの取り組み

を説明。世界の生産量の55%近くを占めているブラジルとベトナムの生産量は近年増加傾向にあるが、天候不順が起こる可能性なども織り込みながら「生産量は21年をピークに在庫の減少が始まる可能性がある」と指摘した。