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離島の防災備蓄に常温保存可能な牛乳を 日本テトラパック、らくのうマザーズ、竹富町がローリングストックの実証実験を開始

 日本テトラパック、熊本県酪農業協同組合連合会(以下、らくのうマザーズ)、竹富町(沖縄県)の3者は、常温で長期保存可能な牛乳「ロングライフ牛乳」を活用した防災備蓄の実証実験を8月27日から開始した。

 西表島をはじめ16の島々がある竹富町は、学校給食において石垣島の乳業メーカーが製造しているチルド牛乳を提供してきた。

寄贈の様子。左から、らくのうマザーズの清塘氏、竹富町の前泊氏、日本テトラパックの鍜治氏
寄贈の様子。左から、らくのうマザーズの清塘氏、竹富町の前泊氏、日本テトラパックの鍜治氏

 実証実験では、日本テトラパックの紙容器と充填技術を活用してらくのうマザーズが製造している「ロングライフ牛乳」の「大阿蘇牛乳」(200ml)7560本を、2520本ずつ3回に分けて寄贈する。

 船の欠航などでチルド牛乳の提供が難しくなった場合、学校給食で同製品を提供。物流停滞時または災害時には、竹富町の判断に基づき町民の栄養補給源としても供給される。

 「ロングライフ牛乳」の賞味期限は製造から90日となっており、物流停滞等が起きなかった場合、期限が切れる前に児童生徒や町民で順次消費する。実証実験は2027年2月までを予定している。

左から日本テトラパックの木下氏、鍜治氏、竹富町の前泊氏、竹富町教育委員会の佐事氏、津嘉山氏、らくのうマザーズの清塘氏
左から日本テトラパックの木下氏、鍜治氏、竹富町の前泊氏、竹富町教育委員会の佐事氏、津嘉山氏、らくのうマザーズの清塘氏

 8月27日、寄贈式に登壇した日本テトラパックマーケティング部の鍜治葉子執行役員マーケティングディレクターは「チルド牛乳と『ロングライフ牛乳』を組み合わせて使い分ける取り組みは全国初。学校給食牛乳を安定的に供給することと、物流停滞時および災害時に備えることを両立した取り組みを目指している」と語る。

 実証実験は、在庫の運用や管理、現場の作業負担、各拠点の適切な備蓄量、物流停滞時などの活用状況を確認しながら進める。

 竹富町の前泊正人町長は「物流に課題がある中で、特に子どもたちに安定的に牛乳を提供できるのは大変嬉しく思う。実証実験を進め、町民の命や子ども達の食の安全、栄養を確保できる体制を構築したい」と力を込める。

 竹富町は9つの有人島のうち、6島に小中学校が12校ある。人や物の輸送は石垣島からの海上輸送で行っているが、夏の台風や冬のしけによってどうしても輸送ができない時があるという。

 「例えば西表島の上にある鳩間島は、民間の定期船が1カ月欠航になったことがあった。その時は郵便局の小さな船と連携したり、行政として船をチャーターしたりして物資の輸送を行った」と振り返る。

 これまでも学校給食で使用する食品が予定通りに届かず、献立の変更や代替食材の確保が必要になったことがあるという。

 竹富町教育委員会の佐事安弘教育長も「今回の取り組みは、子ども達への温かいご支援であると同時に、離島地域における物資の備蓄や安定供給のあり方を考える上で大変貴重な機会であり、本町の学校給食現場に新たな選択肢をもたらすものだと受け止めている」と感謝を述べた。

 竹富町教育委員会総務課の津嘉山翔課長補佐は「実証実験のお話をいただき、初めて『ロングライフ牛乳』を知った。これまでは学校給食でチルド牛乳を提供する際、乳業メーカーさまや船会社とダイヤの調整などを行っていたため、『ロングライフ牛乳』は課題にマッチしていた」と期待を寄せる。

 熊本県の酪農家によって構成されているらくのうマザーズは、以前から「ロングライフ牛乳」を含む製品を沖縄県で多く販売している。

 らくのうマザーズ営業課の清塘輝彦課長は「7月28日に熊本地震があった際、沖縄県の皆様からも励ましのお声を多くいただいた。現在は製造と出荷を再開しているが、備えることの重要性を改めて切実に感じた。今回の実証実験が有意義なものになるよう願っている」と述べる。

 実証実験では、各校の調理室のスペースを確認の上、「ロングライフ牛乳」を振り分ける。今後は実際の活用状況や島ごとの需要を確認しながら、順次最適化を目指す。

 「ロングライフ牛乳」はアウトドアシーンやまとめ買いなどにも適しているが、防災備蓄の観点でも好適と鍜治氏はみる。

 鍜治氏は「冷蔵設備に頼らず、災害時に不足しがちなたんぱく質やカルシウムを補うことができる。子ども達にとって飲みなれたもので、緊急時に栄養面だけではなく心理的な安心感を与えることができる。備蓄の際にスペースを取らず、飲用後は畳めてかさばらないのもメリット」と説明する。

 日本テトラパックは2026年6月、「ロングライフ牛乳」を学校給食に採用していた与論町(鹿児島県)とローリングストックの実証実験を開始。

 今後は竹富町・与論町などの離島だけでなく、物流課題を抱える地域で同様に「ロングライフ牛乳」の活用について行政と連携していく。

 「物流を船便に多く依存する離島地域をはじめ、山間部や豪雪地帯などの物流にリスクがあるエリアで今回得られた知見を活かして広げていきたい」と力を込める。

 日本テトラパック事業開発部の木下明彦氏は「今回は防災備蓄の啓発活動をする中、竹富町のことを知り連絡を取らせていただいた。他の自治体の方からもお問い合わせをいただいている」と述べる。

 「ロングライフ牛乳」は、中身を超高温で瞬間滅菌し、滅菌された6層構造の紙容器に無菌充填することで、常温での長期保存が可能となっている。

 冷蔵輸送負荷の軽減や、長期保存可能であることから食品ロスの削減においてもメリットがある。
 
 木下氏は「学校給食において、牛乳は毎日昼までに冷蔵での輸送を求められており、物流において大きな負荷がかかっている。『ロングライフ牛乳』で物流課題の改善に寄与できるかもしれない」と語る。

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