飲料嗜好飲料UCCがコーヒー2050年...

UCCがコーヒー2050年問題の解決へ一歩前進  収穫量の安定が見込めてレギュラーコーヒーに適した「ファインロブ」日本初導入

 UCCグループは生産者とともに持続可能なコーヒーづくりに取り組み「コーヒー2050年問題」の解決へ一歩前進する。

 コーヒー2050年問題とは、気候変動により2050年にアラビカ種の栽培適地が大幅に減少する可能性を示唆する警鐘。

 今回、アラビカ種の栽培適地とされる高地と比べて気候変動の影響を受けにくい低地で栽培されるカネフォラ種ロブスタ(ロブスタ)の品質を進化させた。

 ベトナムTamba(タンバ)農園とともに選別・精製方法に一工夫を施して高品質ロブスタ「ファインロブ」を編み出し、ファインロブ100%のコーヒーメニューをカフェ業態「上島珈琲店」へ日本初導入した。

UCCジャパンの里見陵執行役員サステナビリティ経営推進本部長
UCCジャパンの里見陵執行役員サステナビリティ経営推進本部長

 「我々としてはコーヒー2050年問題の解決につながる1つの大きなステップだと思っており、非常に力を入れていく」と力を込めるのはUCCジャパンの里見陵執行役員サステナビリティ経営推進本部長。9月28日、「上島珈琲店 虎ノ門店」(東京都港区)で発表した。

 ロブスタは「Robust(強い)」という語源のとおり、高温多湿や病害虫に強いのが特徴で安定的な収穫が見込める一方、ロブスタ100%のレギュラーコーヒーとして味わう機会は稀で、ブレンドの一部やインスタントコーヒーの原料などに用いられている。

ファインロブ(左前)とダブルネルドリップされるファインロブ
ファインロブ(左前)とダブルネルドリップされるファインロブ

 ファインロブは、収穫後にカラーソーターで選別された完熟コーヒーチェリーのみを使用し、果肉除去後、ミューシレージという糖分が多い粘液層がついた状態で乾燥・発酵されて生豆へと精製されたものとなる。
 これにより、ロブスタの耐病性などの強さを持ちつつ、甘く香ばしく、澄んだ味わいを特徴としレギュラーコーヒーのメインブレンドにも適した味わいに仕立てられている。

 「作れる量が少なく、Tamba農園さまのご努力のおかげで『上島珈琲店』で展開できる量を確保できた。我々が発信することでファイロブにチャレンジしてみようという生産者が増えてほしい。価値の高い状態で消費者に提供できれば、量も増え、生産者が高く売ることもできる」と期待を寄せる。

 調達を担当するUCCベトナムの大江隼平ゼネラルマネージャーによると、ベトナム・ホーチミンなどのカフェチェーンではファインロブ採用の動きがみられるという。

 「やはりベトナムとしてもロブスタの安価で大量生産というイメージを変えていきたいということで、どちらかというと農家主体の発信でファインロブが徐々に都市部へと広がってきている」と大江氏は語る。

 ベトナムでは、1ヘクタール程度の農地を持つ小規模農家が多い中、Tamba農園は約200ヘクタールありベトナムの中では非常に珍しい大規模農家に位置づけられる。標高は750~800メートル。収穫期は一般的なベトナムと同じ11~12月。

 UCCは2013年からTamba農園との関係を構築。持続可能なコーヒーづくりに向けて、品質向上に向けた技術指導や精選・輸出体制の構築などに生産者とともに取り組んでいる。

 「ベトナムで収穫されるコーヒー豆は90%以上がロブスタであるのに対し、Tamba農園ではファインロブやアラビカ種の栽培にも近年チャレンジしている」という。

 上島珈琲店では、コーヒー豆を入れたネルを二層にして抽出するダブルネルドリップという唯一無二の手法でファインロブを抽出し、10月1日から全店でアイスコーヒーとして販売する。

 UCCコーヒーアカデミーの土井克郎専任講師は「できるだけファインロブのおいしさを維持するため、上島珈琲店では抽出開封などをしっかり管理しながら味覚設計させいただく。ダブルネルドリップは余計な雑味やえぐみをできるだけカットするように二段構造となっている」と説明する。

 上島珈琲店を運営するユーシーシーフードサービスシステムズ(UFS)の山下利奈氏は「ファインロブという新たな選択肢が加わり、上島珈琲店とともにコーヒーの未来を一緒に考えていきたい」と述べる。

関連記事

インタビュー特集