インスタントラーメンの製造企業らが加盟する日本即席食品工業協会。食の安全・安心はもとより、近年は業界をあげて減塩商品の開発や防災食としての支援強化に取り組んでいる。
豊留昭浩理事長(明星食品社長)は「当協会は誕生から60余年を経過したが、国内の総需要は年間約59億食まで成長。いまや食生活に欠かせない国民食となった。これからも業界各社が切磋琢磨し、時代のニーズに即して進化させ続けたい」と話した。
本紙など業界専門紙8社が加盟する即席ラーメン記者会の合同インタビューに応えたもの。
協会は創立60周年を迎えた24年に「ビジョンステートメント」を掲げ①食の安全・安心②健康と栄養③環境負荷低減④安定供給――と4つの目標を掲げた。
①の一環で小学生から大人まで対象にした食育活動を行う。「即席麺の正確な情報発信をもとに正しい理解を醸成していきたい」との考え。
②の中でも消費者は減塩に関心が高いと認識。協会は30年までに即席麺のJAS全商品を対象に、食塩相当量10%削減(20年比)の目標を掲げる。
その進捗は26年3月末で4.3%削減(カップ麺3.7%削減、袋麺5.4%削減)となった。
「減塩とおいしさの両立は難しいが重要なテーマ。日本は高齢化も進んでいる。今後は新商品だけでなく、定番商品でも取り組みを強化していく段階。減塩しても新たな素材や製法でいまと変わらないおいしさを実現できるよう各社とも研究・開発を強化している」。
③ではCO2削減に注力。すでに「環境対策自主行動計画」で設定した10%削減を達成したことから、昨年中に30年度の目標値を30%削減(13年度比)に引き上げた。
④は外装表示やパレットの統一など物流効率化を推進するとともに、防災食として災害支援活動への貢献を強化。
従来はカップ麺のみ提供してきたが、「令和8年熊本地震」では会員各社が製造する袋麺、カップライス、スープ春雨、冷水カップ麺、ワンタンスープ、パン、ゼリーも被災地に送り届けた。
同席した吉井巧専務理事は「被災された方や地域の方に少しでも喜んでいただける支援をしたいと考えている。夏の暑い時期に現地のご要望もお聞きし対応させていただいた」と話した。
一方、近年印象に残っていることとして、豊留理事長は「コロナ禍を経て袋麺の需要が盛り返し、22年に生産数量が59億9000万食と過去最高になった。その後は若干反動が出たものの、足元の物価高でも価格の優等生として高水準の需要を維持できている」と説明。
「即席麺は環境の変化に合わせて商品を進化させ続けてきた。同じブランドでも毎年リニューアルを続ければ5年間で大きな進化になる。即席麺は誕生して68年になるが、会員各社の努力でアンチエイジングできているのではないか」と述べた。
