自販機業界が過渡期にある。近年の人手不足や販売低迷により、自販機の価値を見直す減損テストを行う動きや事業譲渡などの再編が進んでいる。
販売低迷は、コストプッシュ型の価格改定が相次いで行われたことで、販促費が投入されて値頃感を創出しているとみられるスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの手売りと自販機の値差が広がり自販機商品の割高感が高まっていることが一因とされる。
こうした逆風を背景に、コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)は25年12月期第2四半期決算で、自販機の資産について881億3500万円を減損損失として計上した。
ダイドーグループホールディングスも26年1月期連結決算で298億2600万円を減損損失として計上。自販機台数を26年度までに24年度の約27万台から不採算機2万台を削減する方針も明らかにした。
ダイドーは人手不足の中、自販機の新規設置で売上拡大を図るのではなく、優良ロケーションへの転換など自販機台数絞り込むことで投下資本を抑制しながら収益性改善を図っていく。
3月、決算会見に臨んだ髙松富也社長は「決して簡単なことではないが、持続的成長に向け、やりきっていく」と力を込める。髙松社長は26年度から子会社ダイドードリンコの自販機事業本部長を兼任している。
なお、オペレーションは、アサヒ飲料との共同出資会社ダイナミックベンディング(DVN)が一手に担っている。
今年に入り、事業譲渡へと踏み切ったのはポッカサッポロフード&ビバレッジ。ポッカサッポロは26年3月5日、ポッカサッポロが運営する自販機事業を吸収分割によりライフドリンクカンパニーが新たに設立する会社へ承継することを決議し、ライフドリンクカンパニーとの間で吸収分割契約を締結した。
譲渡日は10月1日。譲渡後は一定期間においてポッカサッポロの商標を用いた自販機としてポッカサッポロ商品の販売継続を予定しその他の事項についても協議・検討を予定する。

伊藤園は5月1日、自販機事業を会社分割して子会社の旧・ネオスに承継し、伊藤園ネオスへと商号を変更。2社統合により、ルートや拠点の融合を図るなどの生産性向上と優良ロケーションの獲得に取り組むとともに、食品などの無人販売にも挑む。
伊藤園は26年4月期、収益性の低下が認められた自販機事業で約138億円の減損損失を計上。今後は、伊藤園ネオスとして顧客密度・生産性を高めた最適な事業体制にすることで収益性向上を図る。
今期、伊藤園単体は売上高3223億円(前年比5.6%減)、営業利益132億円(同6.2%増)を計画。売上高は247億円分の自販機事業分割に伴う減少計画となり、営業利益は自販機事業にかかる費用などの減少により12億円分上乗せとなった計画となる。
伊藤園ネオスは今期、自販機事業吸収に伴う増加で売上高620億円を計画。利益面では、自販機事業吸収に伴う戦略的費用の増加で27億円の営業損失を見込む。来期には赤字幅を縮小し、2029年4月期に黒字化を計画する。
6月2日、決算説明会に臨んだ本庄大介社長は「伊藤園からの自販機と、旧ネオスにあった自販機ともに不採算ロケーションに置かれている自販機があり、これらを一斉に整備する。それだけでも大きなプラスになる。今後どのような展開ができるのか。本当にスピード感を持ってやらないといけない」と語る。

サントリービバレッジ&フードは先駆的に構造改革を実行。22年1月に旧サントリービバレッジソリューション・旧サントリービバレッジサービス・旧ジャパンビバレッジの3社を統合してサントリービバレッジソリューション(SBS)を設立。
SBS設立にあたり、自販機ルートや事業所統合を進めるとともに、自販機の機材運営を手掛けるサンベンドをユニオントラストに吸収合併し、メンテナンス事業の統合も実施し効率化も進めた。
最大規模となる約65万台の自販機を擁するCCBJIも先駆的に活動。AIをベースとしたアソートメントシステムによる品揃えの最適化や自販機ごとの収益性分析に基づき設置場所の最適化や販促費などを削減するといったルート生産性向上に取り組んでいる。
業界全体で再編や構造改革が進められる一方で、アプリなどを活用した需要喚起策や自販機の販売網を活用した食品やグッズなどの販売、サービスの提供といった活性化に向けた新たな動きもみられる。
キリンビバレッジの井上一弘社長は1月の事業方針発表会で、自販機についてパーマシン向上に取り組みつつ「キリンの自販機で購入すると面白いことがあるといった仕掛けをやっていきたい」と意欲をのぞかせる。
アサヒ飲料の近藤佳代子社長は7月4日、取材に応じ「店頭と自販機の価格差が相当ついてしまい本当に厳しくなっているが、(活性化策の)1つは自販機用として魅力ある商品を入れていくことだと思っている」と語る。
