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「仮眠=サボる」ではない ネスレとトヨタが協働し仮眠を啓発 トヨタ開発の戦略的仮眠ツールでコーヒーナップ共同提案

 「仮眠=サボる」ではない――。

 社会的に問題となっている日本人の睡眠不足の解消に向けて、仮眠の大切さを啓発すべく、ネスレ日本とトヨタ自動車が協働して上質な仮眠体験の場を設けた。

 「ネスカフェ原宿」(東京都渋谷区)に、トヨタが開発した戦略的仮眠ツール「TOTONE(トトネ)」を設置し、コーヒーを飲んでから上質で短い仮眠を行う「コーヒーナップ」を共同で提案するイベントを8月19日から12月18日まで開催している。

 脳疲労の回復には「パワーナップ」が有効と言われている。
 パワーナップは、社会心理学者ジェームス・マース氏が提唱する昼間の15~30分の仮眠を意味し、脳疲労回復のほか認知能力や注意力などの向上が科学的に認められている。

 「TOTONE」は、質の良いパワーナップが体験できる快適空間。レクサス上位機種のシート設計技術を応用して開発した特殊なリクライニングチェア(シート)を基盤とし快適な入眠・睡眠・目覚めをサポートする機能を多数搭載している。
 “整う”と“寝る”を組み合わせてネーミングされた。

左からネスレ日本の岩渕聡氏(飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&液体飲料ビジネス部シニアブランドマネジャー)、トヨタ自動車の加藤彩綾氏(先進モビリティシステム開発部TOTONE-Zグループ)
左からネスレ日本の岩渕聡氏(飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&液体飲料ビジネス部シニアブランドマネジャー)、トヨタ自動車の加藤彩綾氏(先進モビリティシステム開発部TOTONE-Zグループ)

 「TOTONE」は現在、トヨタのオフィス・工場・レクサス販売店に導入されているほか、生産性に重きを置く投資会社やコンサルタント企業、長時間労働になりがちなソフトウェア関連のIT企業、シェアオフィスなどにリースされている。

 一般の生活者が気軽に利用できる場所が少ないことから、今回のネスレ日本との協働について「一般の方にもご利用いただいき、“仮眠っていいな”という機運も醸成できる」と期待を寄せるのはトヨタの先進モビリティシステム開発部に所属する加藤彩綾(さあや)氏。

 一方、ネスレ日本としては、トヨタとの協働により、かねてから提唱しているコーヒーナップを強力に推し進める。

 8月19日、加藤氏とともにネスカフェ原宿で発表会に臨んだネスレ日本の岩渕聡氏は「コーヒーナップを広めたいという強いがある。トヨタさまがパワーナップを推進していることを知り、コーヒーナップと組み合わせたら非常に面白いと思い、お声がけをさせていただいた。トヨタさまが睡眠に着目しているところも興味深い」と語る。

広島大学大学院人間社会科学研究科人間総合科学プログラムの林光雄教授
広島大学大学院人間社会科学研究科人間総合科学プログラムの林光雄教授

 パワーナップの取り方について「仮眠の深さと長さが重要」と指摘するのは広島大学大学院人間社会科学研究科人間総合科学プログラムの林光雄教授。

 深さについては、入眠期(N1:浅い眠り)では寝足りず、深睡眠期(N3:深い眠りの状態)だと寝すぎとなり、この2つの中間の軽睡眠期(N2:意識が欠落した状態)で「スッキリした感覚が得られる」という。

 長さについては、長い仮眠や夕寝になると夜間睡眠を妨害することから、昼下がりに15~30分程度の仮眠を最適とする。

 コーヒーナップとは、短い仮眠の前にカフェインを含むコーヒーを飲む仮眠スタイルのこと。

コーヒーナップのイメージ
コーヒーナップのイメージ

 「カフェインは胃や小腸から吸収される。摂取後、15分から20分くらい経つと血漿の濃度が最大になり、カフェインが効いてくる」と林教授は説明する。

 居眠り運転を防ぐには夜間にしっかり睡眠をとることが理想だが、トヨタでは、夜間睡眠に影響する因子は多数あり、また、個人差も大きいことから、全ての人が完璧な夜間睡眠を確保することは現実的に難しいと捉え、夜間睡眠を補完するものとしてパワーナップを推進している。

 「仮眠というと“サボっている”と言われることもあるかと思うので、我々としては、戦略的仮眠ツールという言葉を使って今訴求している」とトヨタの加藤氏は述べる。

 注意力・判断力は運転時に欠かせない能力であり、慢性的な睡眠不足は注意力・判断力の低下を招き、生産性の低さにもつながるとみている。

 トヨタは、2017年、「A-1コンテスト」(阿呆のナンバーワンを決めるコンテスト)を開催し、そこで社員が有志を募り睡眠に関するアイデアを提案したのが「TOTONE」の起点。先進モビリティシステム開発部を立ち上げ2024年2月にリースを開始した。

 ネスレ日本としては、「TOTONE」導入企業にコーヒーマシンを設置するなどして、コーヒーナップを広めるとともに「TOTONE」の満足度向上を図ることを視野に入れる。

 ネスレ日本の岩渕氏は「出張の睡眠カフェのようなことができれば、パワーナップも強化でき、コーヒーも楽しんでいただける」との青写真を描く。

 2021年の経済協力開発機構の調べによると、日本人が1日のうち睡眠に費やす平均時間は33ヵ国中最も短い7.2時間。厚生労働省の2023年「国民健康・栄養調査」によると睡眠時間が6時間未満の人が約40%に上るなど、多くの人が睡眠に問題を抱えている。

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