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加工食品漬物京都の伝統価値守る製品を 2025年はぬか漬け強化 西利 平井誠一社長

京都の伝統価値守る製品を 2025年はぬか漬け強化 西利 平井誠一社長

現在、京都ではインバウンドの増加で日本人観光客が減少傾向にある。当社では売上構成比の多くを店販が占めているので、コアターゲットである60~70代の日本人観光客の減少が売上に与える影響は大きい。全国的に客単価も減少傾向にあることから、当社もしばらくは厳しい事業環境が続くだろう。幸い主力品については、聖護院かぶらの入荷が順調なので引き続き安定供給できる見込みだ。

このような状況から、漬物と並ぶ基幹事業の育成として、近年は発酵事業に注力している。「発酵生活」ブランドでは乳酸発酵の野菜スープや野菜ドレッシングを、「AMACO」では米と麹菌でつくった「甘麹」を、ラブレ乳酸菌で発酵させた独自の「乳酸発酵甘麹 AMACO」を配合したパンとスイーツを展開している。いずれも漬物とは異なるカテゴリーだが、漬物事業で培った野菜加工技術と発酵コントロールの技術を活用しており、同事業の横展開と捉えている。当社では植物性乳酸菌の開発に40年前から取り組んできたが、近年ようやく認知普及が進んできた。成長市場であると考え、引き続き事業育成していく。

直営店「京つけもの西利 錦店 味わい処」では、昨年8月から漬物バイキングを開始した。15種類の漬物を、ご飯と味噌汁、焼きおにぎりなどとともに楽しんでいただくというもので、潜在需要の掘り起こしを目的にスタートした。漬物を食べる習慣が薄れつつある今、まずは喫食体験をしてもらうことが大切だ。若い方々や海外のお客様に漬物のおいしさを知っていただくきっかけになればと考えている。
京漬物(京つけもの)
2025年は大きな事業展開の予定はないが、健康志向の高まりで近年糠漬が再評価されていることを受け、提案強化する。消費の二極化傾向で自家消費用の購入者が増えている今、季節感や体への優しさといった付加価値をより磨き、お客様の食卓をより楽しく豊かにできるような製品づくりをしていく。

次世代を担う人材育成も重要だ。当社では、ゼロベースから企業理念をしっかりと学んでもらうため、新卒採用を中心としながら入社後の社員教育に力を入れている。

京都は世界的な観光地であるだけでなく、非常に歴史の古い街。老舗と呼ばれるお店や企業が多数存在し、京都の伝統的価値を長年守ってきた。当社も、「京つけもの」の看板を掲げるからには、京都の歴史と伝統を守らなければならない。その重みを理解しているメンバーが一丸となって事業に取り組むからこそ、より高い価値を創出できる。したがって社員の離脱は大きな損失だ。組織への不満を理由とした退職をなくすため、社員の不満や困りごとには常に耳を傾け、風通しの良い組織を目指している。

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