「食」が持つ力

小学生だったある日、突然夕食を摂りながらのテレビ鑑賞がご法度となった。コミュニケーションの場に不要だ、と父が云う。言い出しっぺの父は無口な男で、家族が話題を提供しても大した反応もない。次第に食事の時間が億劫になった。父自身も同様だったのか半年後ルールは撤廃された。

▼それを思い出したのは、先日ファミレスで目にした光景のせいだ。三世代6人の一団が食事を共にしながら全員がそれぞれのスマホを眺めている。もう珍しくはない。でも奇異に感じる。

▼今春の展示会でも、社会経済の変化に伴う消費活動の変化を分析し、コスパ、タイパ、エシカル、推し活などをキーワードに紐付けた売場提案、商品提案がなされた。トレンドを把握して需要喚起に繋げることはもちろん重要だ。

▼「食」が持つ力はそれだけではない。食を知り、家族で料理を楽しみ、感謝の気持ちを育むことをスパイス大手がHPで提唱。口下手な父は多分それを言いたかったのだ。14年目を迎えた今月のこの時期だからこそ、強く感じる。

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