6.5 C
Tokyo
12.7 C
Osaka
2025 / 12 / 24 水曜日
ログイン
English
トップニュースコーヒー 原材料高騰で正念場 円滑な価格転嫁と価値発信が急務

コーヒー 原材料高騰で正念場 円滑な価格転嫁と価値発信が急務

コーヒー豆の国際価格が昨年、47年ぶりの高値に急騰したことでコーヒー業界は今年、正念場を迎える。

ニューヨーク商品取引所でアラビカ種の先物価格は、1ポンド(約453グラム)当たり300セントの大台を突破、ロブスタ種も1トン当たり5000ドル(1ポンド当たり約227セント)の大台を超え、これらに円安が追い打ちをかけコーヒー各社の収益を圧迫している。

大手コーヒーメーカーは昨年末、今年2月・3月に実施予定の価格改定を相次いで発表。コーヒーの持続的な安定供給に向け、価格転嫁を円滑に進めることとコーヒーの価値発信が急務となる。

1月8日、都内で開催された全日本コーヒー協会(全協)の賀詞交歓会では、円滑な価格転嫁と価値発信の必要性が共有された。

冒頭あいさつした柴田裕会長は「相場高・コスト高で本当にコーヒー業界は今年も大変厳しい年になりそうだ」と述べる一方で、業界挙げての価値発信について「今年もコーヒーの力、コーヒーの魅力をしっかり訴求するようなイベントを開催したい」と意欲をのぞかせる。

2月22日と23日に開催を予定する東日本コーヒー商工組合主催の「コーヒーサミット2025」にも触れ、「本当においしいコーヒーを提供する展示会、量より質のコーヒー展示会」とアピールして協力と来場を呼びかける。

島本憲仁副会長
島本憲仁副会長

コーヒーで乾杯の発声を行った島本憲仁副会長も業界を取り巻く環境について「アラビカ種の価格が300ドルを超えて、こんなに厳しい年初スタートは過去になかったと思う。新卒で34年前に今の会社に入社したときの相場はアラビカ種で84ドル、ロブスタ種で49ドル。今は4倍程度に高騰したが、価格(メーカーの出荷・販売価格)は4倍にはなっていない」と危機感をあらわにする。

コーヒーの価値発信については、各人が身の回りの人にコーヒーの魅力を伝える草の根運動を提唱する。

「一杯のコーヒーで休憩時間が素晴らしいものになる。身の回りの方々にしっかりとコーヒーの良さを言い続けてコーヒーラバーを増やしていくことが一番のコーヒー業界発展の道だと思っている」と呼びかける。

価格転嫁などについて国も後押しの姿勢をみせる。

同会で来賓あいさつした農林水産省の宮浦浩司大臣官房総括審議官は「次の通常国会に向けて価格転嫁を円滑に進めることと生産段階から消費に至るまでの食料システムの持続性を担保するための、皆さま方の取り組みを後押しするような法律を現在検討しているところ」と語る。

消費者庁の新井ゆたか長官は「人材育成のために必要な費用を投じられる業界になっていくことが食品産業・農業も含めて、これから非常に重要。その点について適正な価格水準をお願いしたい」と述べる。

サステナブルな原料調達による製品の価値が今一つ浸透していないことも指摘する。「サステナブルな世界についてモノを通じて気付けるコミュニケーションをもう一段充実させていかなければいけない。今年、まとめてみたい」との考えを明らかにする。

関連記事

インタビュー特集

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。