今年も猛暑の夏が過ぎ、10月、11月になっても気温は下がらず暖かい日が続いた。近年は気候変動の影響で昆布茶が最も売れるはずの冬がどんどん短くなっている。
それでも年間を通してみると昆布茶の需要は伸びている。その理由は調味料としての利用が増えたことにある。以前だと最需要期の冬と閑散期である夏の売上の差は2倍近くあった。だが、料理利用が広がるにつれ、その差は縮まり通年商材として定着した。
昆布茶メーカーは20年ほど前から調味料としての利用を提案し続けてきた。だしとして日本人に馴染み深い昆布を原料に塩や砂糖などを配合しバランスよく仕上げているため、誰でも簡単に料理にうま味を加えることができる。こうした点が支持され、調味料として浸透した。
メーカーにとってもメリットは大きい。飲用で使うのは1回で2g程度だが、調理の場合は少なくても2g、多ければ8g以上使うこともある。調味料として使うヘビーユーザーが増え、大容量タイプへのシフトも強まった。メーカー各社はSNSを活用したメニュー発信にも積極的で、若い世代の獲得にもつながっている。
不二食品(大阪市)の藤井隆義社長は「どれだけ日常使いの調味料として定着させられるかが大事」と話す。
調味料としての昆布茶の存在感は業務用市場でも高まっている。和洋中に合う汎用性が飲食店で支持され、大手外食チェーンが採用するケースも増えた。中食ではスーパー、コンビニの弁当や惣菜、さらに冷凍食品などの加工品にも使われ、業務用のすそ野を広げている。
先述の通り誰でも使いやすいことから、人手不足に悩む飲食店ではオペレーションの簡素化に寄与。さらに、乾物の昆布が高騰していることも業務用ユーザーが昆布茶を使う一因となっている。
このように、利便性と経済性を背景に業務市場でさらに拡大する可能性は大きい。