荷待ち時間短縮へ物流効率化の新設備 トラック台数削減も期待 キリンビール名古屋工場

トラックドライバーの荷待ち時間削減など物流改革に向けた取り組みを、キリンビールが本格化させている。

物流業界では4月からの残業時間規制によりドライバーが働くことができる時間が短くなり、長時間労働の大きな原因となってきた荷待ち待機時間の削減が喫緊の課題。また物流業務に従事する労働者の減少も進んでおり、より少ない人数でのオペレーション体制構築が求められている。将来的なドライバー不足の進行を見据え、より少ないトラック台数での配送体制の構築も必要になってきた。

同社名古屋工場では6月から、トラックへ積み込む貨物を自動で出庫する「自動ラック」内で荷物の搬送を行うクレーン、入出庫ステーション(自動ラックの出入口)を更新。入出庫口数の増設と出庫スピードを従来比の約2倍に向上させることで、1台当たり14分の荷待ち時間を削減できるという。

レイヤー自動ピッキング装置。従来の約半分の人手で済み、作業の削減・作業負荷軽減を実現(キリンビール名古屋工場) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
レイヤー自動ピッキング装置。従来の約半分の人手で済み、作業の削減・作業負荷軽減を実現(キリンビール名古屋工場)

この「新自動ラック」の稼働開始に合わせ、「レイヤー自動ピッキング装置」も初導入。従来は棚に置かれた製品保管ラックまで移動し、ラックからフォークリフトで製品を取り出し、出荷パレットに製品を載せて整えるといった一連の作業を人手によって対応していた。

新たな装置の導入により階層単位で自動ピッキングを行えるようになり効率が大幅アップ。これにより省力化を進め、永続的なピッキング機能の確保と作業負荷軽減を目指すとしている。

さらに酒類保管スペースを拡張し、繁忙期などに不足していた物流拠点能力を強化。慢性的に使用していた場外倉庫使用を抑制し、工場と場外倉庫を行き来するトラックの削減につなげる。

新自動ラックとレイヤー自動ピッキング装置は6月に完成し、9月から最大出力で稼働予定。拡張された酒類の保管スペースは、来年4月からの運用開始を予定する。