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2025 / 11 / 19 水曜日
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飲料系飲料家庭用水栓に革新 蛇口からミネラル入りの浄水が出る新サービス LIXILとサントリー共同開発 その仕組みは?
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

家庭用水栓に革新 蛇口からミネラル入りの浄水が出る新サービス LIXILとサントリー共同開発 その仕組みは?

 LIXILは、蛇口からミネラル入りの浄水「ミネラルinウォーター」を出せる家庭用水栓の新サービス「Greentap(グリーンタップ)」をサントリー食品インターナショナルと共同開発した。

 LIXILとしてはこれまでの浄水サービスに“おいしさ”という新たな価値を付与することが目的の1つ。
 一方、サントリーとしてはペットボトル(PET)以外の水の新たな選択肢の探索の一環と位置づけている。

 3月28日、発表会に登壇したLIXILの瀬戸欣哉取締役代表執行役社長兼CEOは「我々の浄水への取り組みでは、おいしさという点が足りなかった。おいしさに実力と知見を多く持つサントリーさんと組むことで大きく変わった」と胸を張る。
 サントリーの知名度にも期待を寄せる。

 「ミネラルinウォーター」は、水道水がミネラル浄水ユニットを通ることでつくられ、ミネラル浄水ユニットにサントリーの知見が活かされている。

 ミネラル浄水ユニットは、浄水カートリッジ・ミネラルボトル・クリーンフィルターの3つの消耗品で構成される。
 その中のミネラルボトルに充填される植物ミネラルエキスをサントリーが開発。ココヤシのヤシ殻活性炭から抽出されたミネラルエキスを分離・ろ過・濃縮といった工程を繰り返すことでミネラルバランスを調整している。

左からLIXILの瀬戸欣哉取締役代表執行役社長兼CEO、サントリー食品インターナショナルの柳井慎一郎常務執行役員
左からLIXILの瀬戸欣哉取締役代表執行役社長兼CEO、サントリー食品インターナショナルの柳井慎一郎常務執行役員

 この植物ミネラルエキスはサントリーが既にテスト展開している「minel(ミネル)」でも採用している。

 「ミネル」は専用ボトルに水道水などの家庭の水を約1.5L入れて専用キャップを装着してひねると、その水が一瞬でまろやかな味わいの新たなおいしさの水に変わるもの。
 専用キャップには植物ミネラルエキスが入り、キャップをひねると気泡が噴射され植物ミネラルエキスが水全体に広がるようになっている。

 サントリーは今回、BtoBビジネスとして植物ミネラルエキスをLIXILに販売。ミネラルボトルにはサントリーのロゴも入っているため、コーポレートブランドの更なる浸透も見込めそうだ。

 サントリー食品インターナショナルの柳井慎一郎常務執行役員は「エキスをLIXIL様に提供するという、今までやったことのない形のビジネスモデルになる。『サントリー天然水』を引き続き中心にしながら、水というものを広く考えて提供するという取り組みの一つ」と語る。

コンパクト設計も特徴。左手前がミネラル浄水ユニット、中央奥が冷水ユニット、右が機能ボックス
コンパクト設計も特徴。左手前がミネラル浄水ユニット、中央奥が冷水ユニット、右が機能ボックス

 ミネラル浄水ユニットを構成する浄水カートリッジ・ミネラルボトル・クリーンフィルターの3つの消耗品は三位一体となっており、ミネラルボトルの残量を基準に3つ同時に交換する。

 3つの消耗品1セットで約600Lの「ミネラルinウォーター」に対応する。
 4人家族の場合、年間使用量は1200Lと推定され、交換は半年に1回が推奨される。

 交換セットは長期で契約すると割安になる。
 ミネラルボトルの残量がわずかになると交換セットが自動注文される3年契約プランでは「ミネラルinウォーター」1L当たりのコストは約33円と試算される。

 新サービス「グリーンタップ」は、冷水タイプと常温タイプの2種類があり、冷水タイプは、ミネラル浄水ユニットに加えて約10℃に冷却する冷水ユニットと機能ボックスで構成される。

 機能ボックスは、スマートフォン・無線LANと水栓を接続するユニット。専用アプリで「グリーンタップ」をインターネット接続するとミネラルボトルの残量が検知できる。

 冷水ユニットでは約5℃の設定もできるが「まろやかなおいしさが最も感じられるのは約10℃」(LIXILの松尾謙吾LWTJ水栓事業部長)という。

 冷水ユニットの電気代は、1日あたりの冷水の使用量が3Lの場合、約14円と算出される。

 そのほか、おいしさを担保する工夫としては、ミネラルの添加量と水量を正確にコントロールし常に一定の濃度を実現する制御システムや、「ミネラルinウォーター」の通路と水道水の通り道を分ける二重管ホースが挙げられる。

 各ユニットは、既存のキッチンサイズに幅広く対応できるようコンパクトに設計。
 「浄水ユニットは引き出しからすぐに手が届く位置に設定し楽に交換できるようにし、冷水ユニットは約1Lの容量を確保しつつシンクしたのデットスペースに収まるようにしてサイズと形状をこだわった」(松尾氏)という。

 ハンドルは左右に設けられる。
 左側は「ミネラルinウォーター」用でLEDハンドルになっており、冷水・常温水・止水でLEDライトが変化する。右側は原水(水道水)でお湯と常温に切り替えられる。

 サントリーは今後、「グリーンタップ」のコミュニケーションでもLIXILに協力する。
 サントリーの柳井常務執行役員は「いろいろとお話させていただく中でアイデアを出させていただく」と述べる。

 「グリーンタップ」は3月29日から発売している。LIXILでは5年間累計で130億円の販売目標を掲げる。

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