国内製塩大手4社がタッグを組む。ダイヤソルト(福岡市博多区、熊野直敏社長)、ナイカイ塩業(岡山県玉野市、野﨑泰彦社長)、鳴門塩業(徳島県鳴門市、安藝順社長)、日本海水(東京都千代田区、西田直裕社長)の4社は4月1日に新団体「一般社団法人日本塩協会」を設立する。
イオン交換膜法製塩企業が全て揃って団体を構成するのは2011年4月以来13年ぶり。代表理事副会長に就任する西田社長は3月26日の会見で「塩は食品のみならず多様な分野に欠かせない。業界が発展し、将来にわたり安定的に供給できるよう全メーカーが心を一つにして取り組む」と決意を示した。
前3社の代表は理事に就任し、野田毅前衆議院議員が会長職を担う。また専務理事を寺下聡日本塩工業会顧問(ダイヤソルト前社長)、監事を石井英年鳴門塩業専務がそれぞれ務める。
イオン膜法製塩企業の業界団体には1972年に7社体制で設立された日本塩工業会があり、11年4月に日本海水が退会した後、前述の3社体制で運営してきた。この度、最大手の日本海水を含む4社体制で新団体のスタートを切る。「日本塩協会」と名を改めた理由について西田社長は「『工業』という言葉の持つイメージが、優れた食用塩としての認知を阻んできた側面がある」と話す。
新団体の主な活動は「カーボンニュートラルなど諸課題への対応」と「国産塩の広報活動」の2つ。
程度の差はあるものの、各社とも製塩工程で石炭を利用している。石炭は22年半ばに20年比3倍を超える異常な高値に達し、製塩企業の利益を大きく削った。2度の価格改定でなんとかマイナス分の補填に努めているところだが、政府の掲げる「2050年カーボンニュートラル」達成には燃料転換が欠かせない。ボイラー交換には数十億円の投資が必要となり、メンテナンスを含めた長期的なランニングコストも勘案しなければならない。エネルギー転換の経営判断に資する情報を収集・共有し、安定供給の継続を図る。
また「国産塩の広報活動」では「安全性・優位性・必要性」の認知拡大を目指す。
海水からイオン交換膜で塩化ナトリウム(NaCl)の純度を高める製塩法は、不純物の残存が極めて少なく安全性にすぐれる。また地政学リスクの高まりが懸念される中、国産塩の供給体制を維持する必要性も高まっているとし、消費者への理解を求める。
各取組の具体的な内容や、日本塩工業会で進めていた事業の取り扱いなどについては、4月以降に検討し、5月を目安に詳細をまとめる。
なお同会や日本海水、塩事業センターらが昨年6月に締結した「緊急時の相互協力に関する基本合意書」は有効なものとして継続される。
▼日本塩協会:東京都港区六本木7-15-14 塩業ビル9F、電話番号03-3402-6411