8.3 C
Tokyo
9 C
Osaka
2025 / 12 / 05 金曜日
ログイン
English
トップニュース日本酒輸出 高価格帯がけん引 ターゲット多様化へ 訪日客にも積極PR
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

日本酒輸出 高価格帯がけん引 ターゲット多様化へ 訪日客にも積極PR

輸出額が14年ぶりに前年割れとなった昨年の日本酒。一方で高価格帯の商品は堅調さを示し、プレミアムな日本酒のトレンドが世界的に続いている。日本酒造組合中央会では、絶好調のインバウンド需要獲得と海外の日本食レストランへのアプローチを強化。「日本酒」ブランドの価値向上に力を入れる。

23年の日本酒輸出額は前年比87%(410億8千万円)。数量では81%(2万9千㎘)となった。

中央会の宇都宮仁理事は8日の会見で「金額の大きい中国、米国の減少が響いた。また東南アジアも前年に大きく伸びたことから、現地在庫の滞留により昨年の輸出は減少した」と説明した。

昨年は22年に急増した各国での在庫消化が進まなかったことに加え人手不足や物流費上昇、インフレなどが影響。中国による日本産水産物の輸入停止から高級日本食レストランが苦戦したことも打撃だ。また海外展示会への出展などのプロモーションも、円安による出展料や諸費用高騰の影響を受けたという。

そのうえで、宇都宮氏は「1ℓ当たりの金額をみると、1千407円と前年から84円のアップ。昔は600円台くらいだった。フランス産ワインなどと同じように、日本酒も高いものが海外で売れるようになってきた。中国、香港、シンガポールは2千円を超えている」として、プレミアム日本酒が世界の市場をけん引しているとの見方を示した。

中国、米国、香港で輸出金額の約7割を占めていることから、今後は輸出先の多様化が課題。東南アジアに加え、日本食レストランが急増する中南米もターゲットとして注目する。

また昨年の訪日外国人旅行客は、円安を追い風にコロナ前の8割にまで回復。インバウンド消費は過去最高の5兆円に達した。中央会が各地の国際空港の売店などで展開する國酒キャンペーンの売上も好調に推移。今後は地域の酒蔵ツーリズムを含めたインバウンド消費拡大との相乗効果により、輸出促進を図る。

さらに国際ソムリエ協会とのパートナーシップに基づく若手ソムリエ教育プログラムに参加。各国で日本酒セミナーを開催するなどブランド確立と正しい理解の普及に努める考えだ。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点