地域と連携して美化活動を行う小・中学校を表彰する「環境美化教育優良校等表彰事業」(主催:公益社団法人食品容器環境美化協会、略称・食環協)。24回を数える今年度、最優秀校に選出された学校の紹介特集の2回目は、農林水産大臣賞を受賞した青森県鯵ヶ沢町立舞戸(まいと)小学校の取り組みを報告する。表彰式は1月26日、浅草ビューホテル(東京都台東区)で開催された。
〈農林水産大臣賞〉青森県鯵ヶ沢町立舞戸小学校
青森県の西海岸に位置し、津軽藩の御用港として栄えた鰺ヶ沢町。同校では、その環境を生かした学習を展開している。長年にわたり取り組むのが、「鰺ヶ沢町小中一貫ふるさと学習」。有形・無形文化遺産が点在する町の歴史的資源を、地域の財産として継承するために、児童は、町の学芸員から津軽藩や北前船貿易の歴史を学んでいる。同様に、代々続く「鰺ヶ沢甚句流し踊り伝承」は、住民から踊りの指導を受けながら伝承に努め、行事で踊りを披露。指導に当たる住民の工藤八子(はこ)さんは、「町の歴史を正しく継ぐ子どもたちを見て、私たち大人もやる気をもらい、地域一体となって子どもたちを見守っています」と意気込む。
住民への感謝を胸に、周囲の自然にも目を向ける児童は、近隣の山の植樹や伐採体験を行っている。同時に「食に関する学習」も盛んで、農家の協力の下、アスパラガスやリンゴの収穫を体験。その過程で、地場産業である農業や漁業が豊かなのは、土壌や自然環境が守られているからだということに気づき、理解を深めている。
2020年からは、こうした学びの集大成として、6年生が「海洋環境保全学習」を実施。主に、学校の近くにある鯵ヶ沢海水浴場周辺の清掃活動で、指導する青森海上保安部員から、海洋ごみの種類や漂着ごみなどについて学習している。今のところ、鯵ヶ沢の海岸は、漂着ごみは目立たない。しかし、6年間かけて多様な体験学習を行ってきた児童の環境意識は高く、8のつく日をリサイクルデーに設定し、積極的に地域に呼びかけながら、町の美化に貢献している。
高橋茉波(まなみ)さん(小6)は、「8のつく日はリサイクルデーです。なぜ8の日かというと、8を横にすると無限大の記号になるからで、ごみを資源として長く生かすという意味を込めました」と思いを語る。
住民の指導を得て蓄積された児童の6年間の学びは、豊かな歴史に育まれた鰺ヶ沢町への恩返しに姿を変えている。