第62回油脂業界新年交礼会が5日、東京・水天宮のロイヤルパークホテルで開かれた。日本植物油協会、日本こめ油工業協同組合、日本マーガリン工業会、油糧輸出入協議会、全国油脂販売業者連合会、全国マヨネーズ・ドレッシング類協会の6団体共催。冒頭、能登半島地震ならびに羽田空港での航空機事故の犠牲者への黙とうが行われた後、6団体を代表して日本植物油協会の新妻一彦会長が年頭あいさつを述べた。
新妻会長は「国連のグテーレス事務総長が昨年、地球沸騰化の時代に入ったと表明したように、気候変動と地政学リスクの高まりが穀物需給に大きな影響を与えている。国内ではコロナ禍からの回復が進む一方で、人手不足が深刻な課題だ。国内の油脂需要はコロナ前の水準に戻っておらず、資源価格や物流費などのコスト上昇も続いている。食料とバイオ燃料の需要の増加で穀物需給はタイト化し、構造的かつ不可逆的な変化に直面していることを共有し、広く伝えていかなければならない」と指摘した。
そのうえで、「油脂業界は国民の命と健康を支える価値ある製品を安全・安心・安定的にお届けする責務を担っている。食糧安全保障や環境対応、物流の2024年問題など課題は山積しているが、業界が連携して、これまでの慣例や常識にとらわれることなく、新たな発想で取り組んでいくことが重要だ。昨年までのコストプッシュ型から、賃金上昇を伴うデマンドプル型の景気拡大が進み、将来への成長につながる年となることを期待している」と語った。
続いて、油糧輸出入協議会の三木智之理事長(丸紅)、消費者庁の新井ゆたか長官、日本マーガリン工業会の宮道建臣会長(日油会長)が祝辞を述べた後、新年の交礼を深めた。中締めは全国油脂販売業者連合会による油〆で新たな年の飛躍を誓った。