健康価値の高い豆乳を使ったヨーグルトやアイスで成長を目指す企業が増えている。
フジッコの「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」は3月のリニューアルで、同社の「カスピ海ヨーグルト」と同じ「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌FC株)」(乳成分フリー)をかけ合わせることにより、よりまろやかでクリーミーな食感と酸味の少ないまろやかな味わいを実現した。工場で粉砕した大豆を“丸ごと”使った同ヨーグルトは、豆乳では除かれる「おから」の食物繊維を含めた栄養を丸ごと摂ることができる。
大豆ベースのため酸味が少なく、和食にもよく合う、アレルギーの人も食べられるなど、独自の価値を提案している。同社の「おまめさん 丹波黒黒豆」を入れたり、おろし生姜や醤油をかけたりと、アレンジの幅が広いのも特徴だ。ヨーグルト売場のほか、大豆製品を取り扱うコーナーでの展開も積極的に進めている。
マルサンアイの「豆乳グルト機能性表示食品」は、便通改善に役立つ「乳酸菌TUA4408L」を含む機能性表示食品。秋冬に向けてパッケージを変更し、若干乳酸菌の量を増やした。「以前は開けた際に“とろっ”とした印象だったが、乳酸菌を増やすことで硬さを増した」(担当者)という。このほど開かれた「第63回ジャパン・フード・セレクション(JFS)」ではグランプリを受賞し、先日の料理番組でも取り上げられるなど、メディア露出も増やしている。個食タイプやフレーバー商品などラインアップ拡充も前向きに検討している。
アイスでは、ハーゲンダッツ ジャパンが関東地区限定で発売する「GREEN CRAFT」シリーズの「豆乳バニラ」「豆乳チョコレート&マカデミア」が好評だ。特に後者は今年5月の発売後3週間のPOS実績で主力バニラの1.2倍ほどとなるなど、計画を上回り推移している。独特の香りがなく食べやすいことや、大きく砕いたマカダミアナッツの食感など、植物性でも変わらないおいしさが受け入れられている。これまで乳アレルギーでハーゲンダッツを食べられなかった人にも対応できることから流通の評価も上々とし、まずはこの2品で全国展開を目指す方針。
豆乳アイスシリーズの先駆け「ソイ」シリーズを10年以上発売するクラシエフーズでは近年、他社の取り組みも加速するなかで「健康系アイスの売場が広がっている」(担当者)と感じている。「ソイ」は乳・卵不使用が特長のため、アレルギーという枠での採用が最も大きい。「どうしても棚効率は悪くなる分、そこを理解いただいている売場でないと継続性がない。今後はそこからいかに広げられるかが課題」としている。