12.6 C
Tokyo
11.9 C
Osaka
2025 / 12 / 09 火曜日
ログイン
English
トップニュースポッカサッポロ 事業構造を変革 レモン事業の領域拡大と植物性素材に意欲 征矢真一新社長が語る

ポッカサッポロ 事業構造を変革 レモン事業の領域拡大と植物性素材に意欲 征矢真一新社長が語る

3月27日から現職のポッカサッポロフード&ビバレッジの征矢真一社長は5月20日、オンライン上で取材に応じ、やや総花的であった飲料・レモン・スープ・大豆チルドの各事業構造を見直し、植物性素材により特化した事業構造にしていく考えを明らかにした。

「今後、サステナブルな社会の中で環境や健康への意識シフトは飛躍的に進み、植物性素材が一つのセグメントとして認知され求められる時代が来る」との考えの下、少なくとも10年先を見据えて、おいしさ・簡便・健康の面から植物性素材をキーワードに同社の強みを磨きあげていく。

征矢社長はこれらの取り組みを“未来の食のあたりまえ”の創造と呼び、「既存のもので新しいものを創ることにも取り組むが、やはりゼロから新しいものを創るのは必須。ただし、いきなり飛地にいくのではなく、持っている資産や強みから新しいものを創り上げていきたい」と意欲をのぞかせる。

その核となる植物性素材は、大豆チルド事業で展開している豆乳や豆乳ヨーグルトの領域を広げていく。

「最初は豆乳ヨーグルトの市場形成が大事だが、将来は広く牛乳と同じようなことをやりたい。今まで牛乳で満たしていたものを植物性タンパク質でも満たしていくことを進めていく」考えだ。

主力のレモン事業には引き続き最注力の構えだが、「まだまだ幅が狭く、レモンの原料をすべて生かしきって事業をフル展開できていない。加えて、レモンで培った技術を他の柑橘類に生かすこともできておらず、原料から手掛けて安全・安心を担保する取り組みもまだまだやり切れていない」などの課題を挙げる。

新型コロナウイルス感染拡大による今後の消費行動の変化については「外出自粛のフェーズから個人が工夫していくフェーズに入る。人との接触を少なくすることが重視されることは間違いない。そうした中で、どのような商品やサービスが提供できるかがポイントになってくる」とみている。

社員に向けては「リスクはチャンス」のメッセージを発信。これは社長就任前から用意していたものだが、期せずして新型コロナが蔓延したことで、そのリスクは桁違いのハイリスクとなってしまい発信をためらったが、「何かリスクが起きたときはゲームチェンジの可能性が高く、そのときに対応できる力が問われる」との考えから発信に踏み切った。

北海道出身の征矢社長は、このリスク対応力をばんえい競馬にたとえる。「最後の山(第2障害)を超えるときに備えがしっかりできている馬が勝つ。山があるほうが、いろいろなチャンスが生まれてくるという信念で経営していきたい」という。

「リスクはチャンス」に加えて、失敗を恐れない精神や過去から培った知見の伝承も社員に呼びかける。

「ポッカコーポレーション創業者・谷田利景さんの教えの一つは、ヒラメキと思いつきは違うということ。ヒラメキで一番大事なのはこの先何が起きるかの仮説があること。“未来の食のあたりまえ”の創造もストーリーがないといけない」と説明する。

財務目標は、サッポログループで発表した財務目標「2024年に売上収益事業利益率5%以上」にのっとり、24年に50億円の事業利益創出を目指していく。

征矢社長の座右の銘は「一粒の麦」。三浦綾子氏の小説「塩狩峠」に出てくる聖書の一節で「私という一粒の麦が後世に新しい麦を残し、その麦が次々と新しい実を結んで、やがて豊穣な畑になるよう頑張っていきたい」と語る。

趣味は旅行。健康法としては平日の朝は5時くらいから散歩に出かけることを日課としている。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。