4期連続で総需要過去最高を更新してきた即席麺カテゴリー。2019年度は、価格改定(6月)、消費増税(10月)、暖冬(12月、1月)、前期のテレビドラマ特需の反動(3月)等々の逆風により前年割れも予想されたが、新型コロナ特需を受け、3月単月が数量19.4%増、金額21.2%増と跳ねたことから、通期で数量前年並み、金額前年クリアという“まさか”の結果となった。
2019年度(19年4月~20年3月)の即席麺総需要(生タイプ含む)は、数量前年比0.1%減(57億1千628万7千食)、金額(出荷額)2.2%増(6千65億4千8百万円)。
種別内訳は、カップ麺が数量1%増(40億18万4千食)、金額3.3%増(4千786億3千1百万円)、袋麺は数量2.6%減(17億1千610万3千食)、金額1.6%減(1千279億1千7百万円)。
生産量(生タイプ除く)は、NB品などを中心とするJAS品が1.7%減(46億900万9千食)、PBなどを中心とする非JAS品が9%増(9億5千991万3千食)。
内訳は、カップ麺がJAS品0.7%増(33億4千458万3千食)、非JAS品3.7%増(6億2千563万2千食)。袋麺はJAS品7.4%減(12億6千442万6千食)、非JAS品20.6%増(3億3千428万1千食)。
袋麺はJAS品が大幅な前年割れとなっているが、2018年度は「チキンラーメン」(日清食品)が60周年、「サッポロ一番 みそラーメン」が50周年(サンヨー食品)などにより大々的な販促が展開されたこと、NHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」特需などで数字を伸ばしたことの反動。
注目された新型コロナウイルスの影響については、3月単月実績に如実に表れた。種別生産量はカップ麺15.9%増、袋麺27.9%増。同出荷額はカップ麺18.9%増、袋麺29.2%増。特に非JASは、カップ麺58.4%増、袋麺85.2%増と爆発的な伸び。
小中学校の休校、在宅勤務に伴い需要が増加したものとみられるが、食品スーパー等の販促が控えられたこともあり、オープンプライスやEDLPのPB消費が拡大したようだ。
メーカー実績も同様で、3月単月の売上高は、日清食品が前年比13%増、明星食品27%増。日清食品は、19年3月も「まんぷく」特需で17年度比10%増としていたが、20年3月はそこからさらに二ケタ伸ばした。新型コロナ特需の影響の大きさを示すものとなった。