飲食店における日本酒の新たな提供シーンを創造するため、「出汁×日本酒」をテーマにした「出汁割りプロジェクト」が始動する。仕掛けるのは業務用酒販店の榎本酒類(東京都大田区)。企画に賛同した菊正宗酒造が出汁割りに合うプライベートブランド(PB)「菊佳盃(きっかはい)」を11月中旬に発売し、2月までに首都圏と関西で1000軒の導入を目指す。榎本泰幸常務は「おでん出汁など和食はもちろん、中華や洋食のだしにも合う。お店の個性を体験できる一杯になり得る」とアピールした。
10月1日に都内でプロジェクトの発表会を開催。企画には酒販店の小倉(東京都港区)、幸田(大阪府大阪市)、東酒類(東京都千代田区)、オリカサ(同台東区)、塩田屋(同渋谷区)も参加。出汁割りはおでん業態や和食業態の一部店舗で人気を集めているものの、これまで表立って情報発信される機会は少なかった。

日本酒の消費量が長期的な減少傾向にある中、主なターゲットには「Z世代」と「訪日客(インバウンド)」に設定。榎本常務は海外調査機関のデータを引き合いに「若者の酒離れが言われるが、主要国でアルコールを摂取する人は増加傾向にある。メリハリをつけて飲む方が多く、特に外食での体験価値を重視する」と指摘。「若者が飲みたくなる理由を作ることが大切」とした。
訪日客についても「日本における食体験の満足度は高い。その食文化を支える出汁と日本酒を掛け合わせ、“温かい日本酒体験”として発信する」。
今回、「出汁割り」は味の均一化を図るため、出汁120mlと日本酒30mlを推奨。「菊佳盃」使用時のアルコール度数は2・8~3・0%となり、低アルコール感覚で日本酒になじみがない層でも試しやすい。
榎本酒類が虎ノ門ヒルズで運営する飲食店「角打ちKAN」で「出汁割り」はすでに好評を得ている。日本酒の熱燗を大幅に上回る販売数量を記録し、注文者のうち女性が約7割を占める。

榎本常務は「出汁割りは和食だけでなく、中華の鶏ガラ、洋食のブイヨン、ラーメンの煮干しなどとも相性抜群」と紹介。飲食店は通常の料理で使っている出汁(ベース)を流用できるため、提供コストを抑えられることも強調した。
今後は九州・名古屋・仙台・北海道の酒販店とも連携、全国展開を図る。プロモーションの一環で、動画配信で人気の酒場案内人・塩見なゆ氏も「出汁割り」を発信する。
