2026年4月から味の素冷凍食品の経営トップを担う南良勉社長。味の素グループでは17年からインドネシア、フィリピン、ベトナムと3か国の現地法人で社長を務めた。海外で様々な苦労を乗り越え好業績を牽引してきた経験があるからこそ、「企業理念という根っこを持って目標にまい進する組織は非常に強い。業績が伸びることも体感してきた。日本の当社でも同じように強い組織を目指す」と力を込める。
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海外における成功体験の一例については、ベトナムの給食事業を挙げた。パーパスに「ベトナム国民の幸せと健康に貢献する」を掲げ、12年から日本式の給食システムを展開。子どもたちの栄養課題を解決するため、現地の行政機関と連携するとともに、社員一人ひとりが部門を超えて団結し、現在ではベトナムで4400校を超える小学校に導入されているという。
9年ぶりの日本は「人口減少や少子高齢化が進行し、さらに足元のコスト上昇で厳しい経営環境」としながらも、「さいわい冷凍食品の需要はまだまだ伸びている。市場のアドバンテージも生かして業績を上げたい」と話す。
目下の経営方針は、メーカーの根幹である品質管理や商品供給などを着実に実行する「安定運営」と、時代の変化に合わせた価値提供で成長を目指す「新たな取り組み」の「両立」であると説明。
「近年はインフレ経済の中で当社業績も伸び悩み、既存商品の改定や一部不採算商品の終売を優先せざるを得ない傾向にあったが、直近の26年秋は、家庭用と業務用のトータルで新規25品(リニューアル含む)を発売。新たな取り組みにも攻めの姿勢で臨む」と語った。
背景には「ひとりひとりの食卓に、もっと。」を掲げたブランドステートメントがある。
「現代は食のニーズが非常に多様化している。おいしさはもちろんのこと、便利さ、健康・栄養、環境への配慮など、お客様によって求める価値が変わってくる。商品開発もきめ細かく対応する必要がある。特に調理時間の短縮化とメリハリ消費が重要なキーワード」との考えを示した。
家庭用は、1個800円台(想定売価)と高価格ながら食べ応え抜群のハンバーグをEC中心に発売するほか、ファミリー層向けには小ぶりで手ごろな価格の餃子を発売。玉子炒飯の名店「兆徳」監修の「黄金炒飯」は取引先の評価が高く、話題性のあるプロモーションで販売を後押しする。
主力品「AJINOMOTO BRANDギョーザ」はフレーバー展開の強化に加え、レンジ対応商品への期待が大きい。「味の素グループの技術を生かし、電子レンジ調理で皮・中具の両方ともおいしく仕上がる。主要なサブカテゴリーに育てる」と語った。
業務用は、現場の人手不足やインバウンドへの対応を前提に、商品の価値を分かりやすく伝えることを重視。老舗茶問屋「北川半兵衛商店」の宇治抹茶を使用したスイーツ、糖度・含水率の基準をクリアした「ほめられかぼちゃ」使用のチーズケーキ、原料を「北海道産きたあかり」に限定したポテトコロッケを発売した。
「商品の価値を伝わりやすくすれば、ユーザーであるホテルやレストランの提供現場でもお客様にアピールしやすいはず」と狙いを話す。
取材中、自身の考えをていねいに分かりやすく話す姿が印象に残った。多忙な社長業の傍ら、健康管理に気を遣う。出社前の日課は早朝のジム通いだ。
勤務中の楽しみは、昼食にオフィスで味の素グループの冷凍弁当「あえて、」を食べること。「メニューの種類が豊富でおいしく、栄養バランスも考えられている。平日の夜は会食の機会が多いので、量も控えめでちょうど良い」と笑顔を見せた。
