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熱中症対策へ産官学で連携の輪 熱中症リスク低減効果を共同研究で解明へ 国立環境研究所・大塚グループ・日生・ホリプロら参画

 夏の暑さが年々過酷化する中、科学的・実践的知見を結集した熱中症対策に向けて産官学が連携する。

 6月5日、産官学9機関を発起人機関とする「熱中症対策産官学連携コンソーシアム」が発足された。

 熱中症対策の社会実装に向けた共同研究・啓発活動・情報発信に取り組み、環境省が掲げる「中期的な目標(2030年)として、熱中症による死亡者数が、現状(2022年における5年移動平均1295人)から半減することを目指す」に貢献していく。

 国立環境研究所(茨城県つくば市)で開催された記者発表会に臨んだ同研究所の肱岡靖明気候変動適応センター長は「熱中症リスクの深刻さはもはや災害級といっても過言ではない。我々一部の地域の問題ではなくグローバルで取り組むべき課題であり、この社会課題を解決するために9機関が連携して相乗効果を生み出していく」と意欲を示す。

 民間発起人機関を代表して挨拶した大塚製薬の佐藤真至(なおし)常務執行役員も相乗効果を見込み「実践的な取り組みを社会に展開するとともに得られた知見を広く発信することで熱中症対策のさらなる推進に貢献できると考えている」と力を込める。

 熱中症対策は、暑さを避けることと適切に水分・塩分を取ることを基本とする。

 同研究所ではこれまで、同じ暑さでのエリア別の熱中症リスクの差異や熱中症対策に留まらない気候変動による影響への対策などを研究。
 今後見込める相乗効果について、同研究所気候変動適応センター気候変動影響観測研究室の岡和孝室長は「世の中にいろいろな熱中症対策がある中で、熱中症リスクを下げる効果が十分に明らかになっていないような対策もありうる。そういったものを共同研究によってどの程度効果があるのかを明らかにするのも1つ」と説明する。

 大塚グループからは大塚製薬のほか、アース製薬、大塚ウエルネスベンディング、大塚製薬工場が参画。

 この中で入浴剤を展開するアース製薬は「熱ケア」サイトを立ち上げ、2日に1回の入浴で、暑さに身体を慣れさせて体温上昇に伴い汗をかきやすく熱を逃がしやすい状態にする暑熱順化ができることを啓発している。
 同社調査によると、週3回以上入浴する人は、月3回以下の人に比べて熱中症が重症化するリスクが有意に低いことが判明。

 アース製薬の川口美香子上席執行役員新価値創造本部本部長は「当社の研究所だけでデータを取得するよりも、複数の関係者の専門的知見やデータ解析で裏付けしていただければ信頼度がより高まる」と期待を寄せる。

 大塚製薬は、水分・電解質 補給に関する研究成果や、30年以上にわたる熱中症対策の啓発活動を通じて培った知見を基に、関連情報や取り組みの共有と提言を行うことでより効果的な熱中症対策の社会実装に向け取り組む。

 自販機を展開する大塚ウエルネスベンディングは、活動環境の暑さ指数(WBGT)をリアルタイムで簡易に把握できる自販機連携システムに関する特許を取得。「自販機とデジタルを連動させて将来的に暑さ対策に役立てられるようなものを検討中」(営業部法人営業一部の高岡文博部長)という。

 大塚グループ発祥の会社で輸液のリーディングカンパニーである大塚製薬工場は、軽度から中等度の脱水症における水・電解質の補給、維持に適した経口補水液(病者用食品)「OS-1(オーエスワン)」シリーズなどに関する知見で貢献していくとみられる。

 共同研究による得られた知見と自治体との橋渡し役を担うのは環境再生保全機構。
 環境再生保全機構の坂田貴彦理事は「熱中症は多様な要因が重なり、発祥する複雑な要因がある。単一の機関や施設のみで解決できる問題ではない」と語る。

 そのほか発起人機関としては、エコネットネットコンソーシアム(主な役割:IoT家電を通じた熱中症対策)、日本生命保険相互会社(熱中症保険に関する知見)、ホリプロ(舞台での熱中症対策)が名を連ねる。

 今回の9機関での連携をスモールスタートと位置付け、さらなる連携を呼びかけることも予定し、単年で終わらせることなく活動していく。

 気象庁によると、年平均気温は100年あたり約1.38℃の割合で上昇。統計開始(1898年)以降、最も暑い夏となった2025年には、総務省消防庁によると、熱中症救急搬送数が初めて10万人を超えた。

 人口動態統計では、熱中症による死亡者数は近年約1500人と自然災害(100~200人)よりも多く、2024年には過去最多となる2160人を記録した。

 なお、記者発表会の登壇者は以下の通り。
 (写真前列左から)
 ――国立環境研究所気候変動適応センター長の肱岡靖明氏
 ――国立環境研究所気候変動適応センター気候変動影響観測研究室の岡和孝室長
 ――独立行政法人環境再生保全気候熱中症対策部地域熱中症対策課長の佐古勇策氏
 ――独立行政法人環境再生保全機構の坂田貴彦理事
 (写真後列左から)
 ――大塚ウエルネスベンディング営業部法人営業一部の高岡文博部長
 ――アース製薬の川口美香子上席執行役員新価値創造本部本部長
 ――一般社団法人エコーネットコンソーシアム普及委員会の長沢雅人委員長
 ――大塚製薬の佐藤真至常務執行役員ニュートラシューティカルズ事業グループ補佐(兼)ソーシャルヘルス・リレーション部長
 ――大塚製薬工場の豊川貴司メディカルフーズ事業部マーケティング部部長
 ――日本生命保険相互会社の岩本昌弘サステナビリティ経営推進部環境経営推進担当部長

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